ネモリズマブ(遺伝子組換え)
最適使用ガイドラインの要点:令和4年5月作成、令和6年5月改訂
① 薬剤の位置づけ(What)
- 抗IL-31受容体Aモノクローナル抗体(ヒト化IgG)
- アトピー性皮膚炎(AD)における**「そう痒(かゆみ)」に特化して作用**する生物学的製剤
- 皮疹そのものよりも、IL-31を介した神経性そう痒の抑制が主作用
- 外用治療・抗ヒスタミン薬等で改善しない中等度以上のそう痒に対する位置づけ
② 適応・効能の範囲(Where)
- アトピー性皮膚炎に伴うそう痒
- 既存治療で効果不十分な場合に限る
- 皮疹の重症度ではなく、そう痒の重症度が適応判断の中心
③ 対象患者の要件(Who)【最重要】
以下を満たす6歳以上の患者が対象:
- 確定診断
- 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に基づきADと診断されている
- 既存治療で効果不十分
- TCS(原則ストロングクラス以上)またはTCIによる4週間以上の外用治療
- 抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬の2週間以上の内服
- ※ 過敏症・禁忌の場合はこれら治療が実施できなくても可
- 一定以上のそう痒の重症度
- 【13歳以上】
- そう痒VAS ≥50 または そう痒NRS ≥5
- かゆみスコア ≥3
- 【6歳以上13歳未満】
- かゆみスコア ≥3
- EASIスコア ≥10
- そう痒評価を適切に実施できる
- VAS、NRS、かゆみスコアによる評価が可能であること
④ 投与・使用方法の要点(How)
- 13歳以上
- 60 mg を 4週に1回皮下投与(ミチーガ皮下注用60mgシリンジ)
- 6歳以上13歳未満
- 30 mg を 4週に1回皮下投与(30mgバイアル)
- 投与16週までに治療反応が得られない場合は中止
- 改善が維持されれば、6か月を目安に一時中止を検討
- 再増悪時は、再度すべての選択基準を満たさなくても再開可
⑤ 医療機関の要件(Where / By whom)
- アトピー性皮膚炎診療に精通した医師が治療責任者として配置
- 皮膚科または小児科+アレルギー診療の十分な研修・経験
- そう痒・EASI等の重症度評価が適切に実施可能
- 製造販売後調査を実施できる体制
- 重篤な副作用(過敏症等)に即応できる体制
- 院内または近隣医療機関との連携
⑥ 併用療法・支援の要件(Support)
- 原則併用
- 抗炎症外用薬(TCS、TCI)
- 保湿外用薬
- 重要な説明事項
- 本剤は**「そう痒を治療する薬」**であり、皮疹治療は継続が必要
- 自己注射
- 13歳以上の60mg製剤で可(妥当性評価と十分な指導が前提)
- 経口ステロイド使用中の場合、急な中止は不可
⑦ 有効性・安全性の要点(Why careful)
有効性
- 16週時点で
- そう痒VAS、NRS、かゆみスコアがプラセボに比べ有意に改善
- 4週からそう痒改善が認められる
- QOL指標(DLQI、CDLQI、睡眠指標)も改善
安全性
- 主な副作用
- 上咽頭炎、ざ瘡、蕁麻疹、頭痛、注射部位反応
- 重篤な過敏症の報告あり(頻度は低い)
- 感染症リスクはJAK阻害薬より低いと考えられる
⑧ 実務でのチェックポイント(Summary)
- ✅ 「皮疹」ではなく「そう痒」が主ターゲットであることの確認
- ✅ VAS・NRS・かゆみスコアを用いた定量評価
- ✅ 16週時点での効果判定
- ✅ 外用治療・保湿の継続確認
- ✅ 過敏症症状の初期対応体制
- ✅ 改善後の休薬・再開判断の整理
- ✅ 患者・家族への十分な説明(役割の誤解防止)
関連通知等