誤飲・誤用を防ぐための対策
誤飲事故が発生しています
6ヶ月から9ヶ月にかけて急増
実際に発生した医薬品事故の発生状況を見ると、6ヶ月から9ヶ月にかけて大きく増加しています。
1歳では、大人用医薬品の誤飲が多く、2歳〜3歳では、子ども用医薬品の誤飲が多い傾向でした。
塗り薬を誤飲した事故も発生していました。
集計対象:平成 24 年1月~12 月に中毒情報センターが集めた5歳以下の子供の医薬品等誤飲事故情報 8,388 件のうち、症状を有した 869 件
実例に学ぶ
医薬品を置いていた高さとの関係を聞くと、0〜6ヶ月までは、足場なしで40cm~50cm、1歳以上になると足場を使って、1m以上の高さに手が届いていた事例も発生していました。
①足場を使って医薬品に手が届いた事例
1歳7ヶ月(身長78cm)の子どもが、居間の棚に保管していた胃腸薬を誤飲していた事故
②置き忘れた医薬品を誤飲した事例
眠前に服用する精神安定剤を持って寝室に行き、残りをサイドテーブル(高さ58cm)に置いていたところ、子ども(2歳5ヶ月)が誤飲していた事故
③水薬を誤飲した事例
台所の調理台の奥に置かれていたいちご風味の甘い味の水薬を、子ども(2歳10ヶ月)が誤飲していた事例
予想しない所に、子どもの手が届いていることがわかります。
子どもの行動特性と事故
医薬品誤飲事故から、行動特性の関連性が挙げられました。
○身近にあるものを手に取り何でも口に運ぶ
6ヶ月から1歳半頃に見られる行動であり、このため、塗り薬を口に入れるなど、本来の使い方ではない方法で誤飲する事故が発生している傾向がありました。
○周囲の興味や関心が高まり人の模倣をする
特に1歳半頃は、周囲への興味・関心が高まる時期です。そのため、足場を使って高い場所にある医薬品を取り出して誤飲したり、大人用の医薬品を誤飲するなどの事故が発生している傾向がありました。
○興味を持って好んで手に取る
おおむね2歳頃からは、手足や脳がより発達することによって、興味を持ったものに対して、道具を使うなどして好んで手に取ることで誤飲すると考えられています。
カラフルな見た目や甘い味付けが興味をひき、医薬品を菓子と間違えて大量に誤飲する事故が発生していました。
事故を防ぐためのポイント
大人用の薬の中には、向精神薬、気管支拡張剤、高血圧の薬、糖尿病の薬など、体格の小さな子どもにとっては、重い中毒を引き起こし命に関わる危険性が高いものもあります。
以下の点を参考に、医薬品の誤飲事故を防ぎましょう。
子どもの手が届かない、見えない所に保管する
引き出しに鍵をかける、取り出しにくい容器に入れるなど、複数の対策を講じる
服用前、服用後に置きっぱなしにしない
大人が医薬品を取り出したり飲んだりする様子をなるべく子どもに見せない
医薬品はお菓子ではないことを伝える
事故防止に役立つグッズ
万が一、小さな子どもさんが医薬品を手に取ってしまった時、
- 子どもの力では開けられない、噛んでも破けない袋
- 簡単には開けられない容器
に入っていると、予防にもつながります。
誤飲事故を防ぐためには、子どもが開けにくいチャイルドレジスタンス(CR)機能を持つ袋や容器を活用することも有効です。
万が一誤飲したときには
万が一、誤飲してしまった場合には、すぐに医師に連絡し、服用した薬の名前と量を正確に伝えるようにしてください。
受診時や救急車を呼んだときは、何をどれだけ飲んだかわかるもの(飲んだ後の殻や容器の現物や写真でも)を持参しましょう。
topics
小学生の乗物酔い防止薬の誤飲に注意
10月〜校外学習のシーズンで小学生がバスに乗る機会も増える時期には、「小学生が乗物酔い防止薬(いわゆる、酔い止め薬)を飲みすぎた」という電話相談が急増します。
市販の酔い止め薬は、チュアブル錠やドロップなど、水なしでのめるように工夫されており、子どもようにぶどう味などに味付けされるなど、服用しやすいことが特徴です。
お菓子感覚で飲みすぎないように注意が必要です。
郊外学習などで、子どもに酔い止め薬を持たせる場合には、お菓子でないことをしっかりと伝え、服用方法をよく指導しましょう。また、箱ごと持たせるのではなく、必要な分だけを持たせるようにしましょう。
こどもを事故から守る!
事故防止ポータルサイト
こども家庭庁では、「こどもを事故から守る!プロジェクト」を推進しています。
事故から守るためのポイントがまとめられています。
STOP! 子どもの誤飲事故
中毒情報のプロフェッショナルとして、化学物質の急性中毒の対策活動を行っています。
実際に事故が起きたときの電話相談窓口「中毒110番」も運営しています。
子供による医薬品の誤飲事故に注意!
東京都健康安全センターのページ内にポイントが簡潔にまとめられています。