点耳薬の使い方

 

点耳剤

 
点耳剤(点耳薬)とは、外耳道に滴下して使う剤型のものをいいます。
細菌感染の治療のための抗菌薬、耳垢除去のための薬などのために使われる投与経路です。
患部に、直接薬を落として効果を発揮させるため、のみ薬と比較して、全身性の副作用の危険性が少なく使うことができます。
 
耳に水が入って嫌な思いをしたことがあるでしょう。点耳は部分的に薬を効かせるための投与方法です。耳浴後、薬液は外に出すので、ご安心ください。
 
耳に液体を入れても大丈夫ですので、ご安心ください。

使用方法

基本的な方法
  • 横になって、指定の滴数を落とします。
  • 10分くらい、その体制のままでにします。
    • 「耳浴(じよく)」療法といいます
  • 時間がたったら、体を起こします。このとき、薬液がこぼれるので、ティッシュなどを当てて、外に出てきた薬液を拭き取りましょう。
 

点耳薬をさすコツ

数分間、手で握って、室温に戻してから点耳
冷たい薬液を点耳すると、めまいや耳痛が起こる場合があります。
寝ている時にこっそりと
 
点耳後、しばらく横になっておくことが難しい場合、お子さんが寝ている隙に、点耳しましょう。
耳浴する時間は尋ねてください
10分間横になるのが、従来から行われている、基本的な「耳浴(じよく)」療法の仕方です。
ただし、10分も横になるのは、長時間なのでお子さんには難しい場合もあります。
抗菌薬の点耳では、2~3分間の点耳でも同等の効果があったことがわかっています [1,2]。そのため、一部の薬では、点耳時間の短縮が可能であり、そのように説明される場合がありますので、点耳の仕方は、個別に尋ねてください。
点耳の前に耳掃除?
耳掃除はせずに、点耳して構いません。
耳掃除は、外耳炎の原因になることがあります。
 

してはいけません

綿棒で拭き取る
耳浴後に、外耳道の中の薬液を拭き取ろうとして、綿棒で拭き取る必要はありません。外に出てきた薬液を、ティッシュで受け取るように、拭き取ってください。
外耳道の皮膚は薄いので、綿棒でも傷ついて、外耳炎の原因になることがあります。
 
 

保管方法

 
何度で保管する?
特別に指示がない場合は、室温で保管することが可能です。
 
 
 
 
保管時の注意
揮発性がある物の近くに保存しないように気をつけてください。
近くに湿布薬、殺虫剤・洗剤などを保管しておくと、揮発した成分が、浸透する危険性がありますので、保管場所にはお気をつけください。
また、同じ理由で、点耳薬の瓶に直接油性ペンで文字を書かないようにしてください。
 
参考文献)
[1] 原田 勇彦ら:「オフロキサシン耳用液の有用性と耳浴時間に関する臨床的研究」、耳鼻咽喉科展望、37 巻、3 号、p. 380-387 (1994年).
[2] 蓑田 涼生ら:「オフロキサシン点耳液の効果 (耳浴時間による検討)」、耳鼻と臨床、40 巻、5 号、p. 780-786 (1994年).