抗菌薬アレルギーと交差性
交差性と構造相関 [1]
ペニシリン系抗菌薬アレルギーの交差性
- 6位側鎖構造の依存度が高い(図中のR1)(βラクタム環ではない)
- ・・6位に類似構造を持つペニシリン系抗菌薬:交差性が高い

ペニシリン系とセファロスポリン系の交差性
- ペニシリン系の6位側鎖構造
- セファロスポリン系の7位側鎖構造(図のR1)
- ペニシリン系の6位と、セファロスポリン系の7位が類似構造・・わずかに交差性を持つ

セファロスポリン系の交差性
- 7位側鎖構造、3位側鎖構造(図のR2)に依存する
- ・・7位、3位に類似構造を持つセファロスポリン系抗菌薬:交差性が高い
- 母核構造にも一部依存する
- ・・側鎖に類似構造を持たないセファロスポリン系にも交差性は否定できない
一覧(外来用:経口)
| 系統(例) | 代表薬(一般名) | 注意点(アレルギー/交差性) | 備考 |
|---|---|---|---|
| ペニシリン系(アミノペニシリン等) | アモキシシリン、アンピシリン | 即時型が疑われる場合は要注意(アナフィラキシー等)。「ペニシリンアレルギー」は真の即時型でないこともあるため症状歴の確認。 | |
| セフェム系(第1世代) | セファレキシン | 側鎖が似る薬剤間で交差性↑(R1/R2)。ペニシリンとの交差は一律ではないが、重篤歴では慎重に。 | |
| セフェム系(第3世代) | セフジニル | 側鎖類似に注意。 | |
| マクロライド系 | クラリスロマイシン、アジスロマイシン | βラクタムとは基本構造が異なる(交差性は通常考えにくい)。 | |
| ニューキノロン系 | レボフロキサシン | 同系統内での再投与は慎重に(症状歴の確認)。 | |
| ST合剤(スルホンアミド系抗菌薬) | スルファメトキサゾール/トリメトプリム | 「サルファアレルギー」はスルホンアミド系抗菌薬で問題になりやすい。スルホンアミド系非抗菌薬との交差は一般に低いとされるが、個別に重症度で判断。 |
一覧(入院用:注射)
| 系統(例) | 代表薬(一般名) | 注意点(アレルギー/交差性) | 備考 |
|---|---|---|---|
| ペニシリン系(βラクタマーゼ阻害薬配合) | ピペラシリン/タゾバクタム | ペニシリン系の即時型が疑われる場合は要注意。 | |
| セフェム系(第3世代) | セフトリアキソン | 側鎖類似に注意(交差性は側鎖依存が大きい)。 | |
| セフェム系(第4世代) | セフェピム | 側鎖類似に注意。 | |
| カルバペネム系 | メロペネム | βラクタム系。重篤なβラクタムアレルギー既往では慎重評価。 | |
| グリコペプチド系 | バンコマイシン | βラクタムとは基本構造が異なる(交差性は通常考えにくい)。アレルギー反応のほか、投与反応(いわゆるレッドマン症候群等)にも注意。 |
[1] 宇野勝次:「薬剤アレルギーの起因薬検出,臨床解析および発現機構に関する研究」, Jpn. J. Pharm. Health Care Sci., 36(9), 613―634(2009) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/36/9/36_9_613/_pdf/-char/ja

https://bcmj.org/sites/default/files/BCMJ_Vol61_No9_bc_cdc_0.pdf

- ✓: 異なる構造。安全であると判断される。
- X¹: 同一側鎖 – 臨床的交差反応のエビデンス。処方しない。
- X²: 同一側鎖 – 理論的交差反応、臨床研究なし。処方しない。
- X³: 類似側鎖 – 交差反応の可能性あり。処方しない。
- X⁴: ベータラクタム環に基づく交差反応の可能性が高い。
- X⁵: 臨床的交差反応のエビデンス。処方しない。
- X⁶: 理論的交差反応、臨床研究なし。処方しない。

