排尿障害

副作用の機序

排尿症状:排尿困難、尿閉など

抗コリン作用

コリン作動性の膀胱収縮を阻害するため、排尿困難・尿閉をきたす可能性がある

    蓄尿症状:頻尿、尿失禁など

    コリン作動性

      薬剤性膀胱炎

      出血性膀胱炎

      • シクロホスファミドやイホスファミド
        • 直接粘膜を障害することで出血性膀胱炎を起こす可能性がある
        • 対策)
          • 中和薬(メスナ)
          • 利尿:補液、飲水、トイレを我慢しない
      • トラニラスト
      • オウゴン
        • 柴朴湯,柴苓湯,小柴胡湯,温清飲,柴胡桂枝湯

      ガイドラインにおける記載

      夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]
      CQ24. 降圧薬は夜間頻尿のリスク因子となるか?
      ループ利尿薬およびサイアザイド系利尿薬は病態によっては夜間頻尿を改善させる可能性があるが,病態の違いにより悪化させる可能性もあるため,経過を十分に観察しながら投与する〔レベル1〕。 Ca 拮抗薬は夜間頻尿を悪化させる可能性があり,投与前の下部尿路症状の評価および投与後には医療関係者へ報告するよう指導を行うことが推奨される〔レベル2〕。
      女性下部尿路症状診療ガイドライン [第2版]
      1 蓄尿症状を呈するもの
      8) その他
      a. 薬剤性
      他疾患に対する服薬により,蓄尿症状を生じることがある84) 。コリン作動薬は尿意や排尿筋の活動を亢進させ,αアドレナリン受容体遮断薬は膀胱頸部,尿道の閉鎖機能を低下させるため頻尿,尿失禁などの蓄尿症状を起こす可能性がある。 消化管鎮痙薬,抗パーキンソン病薬,抗ヒスタミン薬,三環系抗うつ薬,抗精神病薬,抗不整脈薬,感冒薬などには抗コリン作用を有するものがあり,β 3 アドレナリン受容体作動薬は,排尿困難を起こし,残尿が増加することにより,頻尿や溢流性尿失禁を生じることがある。〔7 章 診断 表5 p.100 参照〕
      2 排尿症状を呈するもの
      a. 薬剤性 2) 排尿筋収縮力を低下させる作用のある薬剤(抗コリン薬,感冒薬,抗ヒスタミン薬,抗うつ薬,β 3 アドレナリン受容体作動薬など)の服用により,女性でも尿閉をきたす。 特にすでに下部尿路閉塞や排尿筋低活動を有している場合に問題となりやすい。〔7 章診断 表5 p.100 参照〕
      男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン
      CQ1. 男性下部尿路症状を悪化させる薬剤や生活習慣は何か?
      多くの薬剤が男性下部尿路症状を悪化させる可能性があり,特に抗コリン作用を有する薬剤には注意が必要である。また,肥満,高血圧,高血糖,脂質異常症などの生活習慣病と男性下部尿路症状との関係が指摘されている。
      4 その他の疾患・病態 1)薬剤性
      中高年男性では,下部尿路閉塞(前立腺肥大症),加齢に伴う排尿筋収縮力低下,神経因性膀胱などの基礎疾患を有することが多く,薬物の作用によって容易に下部尿路機能障害をきたす。心血管系疾患や代謝疾患,精神神経疾患,悪性腫瘍,上気道炎などの合併症も高齢者に多く,多種類の薬物の服用(polypharmacy)から,薬物の相加・相乗効果によりいっそう下部尿路機能障害を生じやすくなっている。 特に頻度の高いものとして,OAB 治療薬による尿閉などの排尿症状,排尿障害治療薬による蓄尿症状(頻尿,尿意切迫感)がある。その他,消化性潰瘍治療薬,鎮痙薬,パーキンソン病治療薬,抗ヒスタミン薬,感冒薬,抗精神病薬など様々な薬物が中枢性・末梢性に下部尿路機能に影響をもたらす。
      高齢者の安全な薬物治療ガイドライン2015
      過活動膀胱
      CQ. 高齢者にムスカリン受容体拮抗薬は安全か?

      高齢者の過活動膀胱症状に対してはムスカリン受容体拮抗薬が有効であるが、有害事象の発現に注意が必要である。主な副作用は口腔乾燥、便秘、霧視、残尿量の増加等である。(エビデンスの質:高、推奨度:強)
      CQ. ムスカリン受容体拮抗薬を使用する際の投与量、投与方法は若年者と同様でよいか?

      ムスカリン受容体拮抗薬の副作用は、用量依存的に上昇する。膀胱選択性の高い薬剤や投与経路の変更で副作用の軽減が期待できる。(エビデンスの質:高、推奨度:強)

      原因薬剤

      「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」に記載されている原因薬剤一覧

      ○ 銘柄名ごと

      排尿障害に影響する薬剤一覧/銘柄名ごと2024/12/3 9:202024/12/3 9:20
       

      ○ 一般名ごと