透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン
第5章 各種感染症患者に対する感染予防とその治療
Ⅰ B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)
11) HBV 感染患者の生命予後改善のために,血清トランスアミナーゼが上昇しかつ HBV DNA 量3.3 LogIU/mL 以上の場合には核酸アナログ製剤による治療を考慮することを推奨する .(Level 1 A)
また肝硬変では,HBV DNA の陽性症例全例を治療対象とすることを推奨する.(Level 1 B)
12) 透析施設での感染対策と HCV 感染患者の生命予後改善のために,DAA を使用した積極的な抗ウイルス療法の施行を推奨する.(Level 1 A)
Ⅱ HIV(human immunodeficiency virus)
Ⅲ HTLV-1(human T-cell leukemia virus type 1,ヒトT細胞白血病ウイルス1型)
Ⅳ 梅毒
Ⅴ 多剤耐性菌(MRSA・VRSA・VRE・MDRP・MDRA・ESBL産生菌など)および
クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)
Ⅵ ノロウイルス
Ⅶ 疥癬
Ⅷ 結核
Ⅸ インフルエンザ
5) 透析患者に対する抗インフルエンザ薬の投与量は腎機能を勘案して行うことを推奨する.(Level 1 B)
オセルタミビル:減量が必要
添付文書

- オセルタミビル 75mg単回投与→5 日後症状が残っていた場合、もう 1 回投与
- 血液透析)オセルタミビル 30 mgを 1 回おきの透析後に投与で、治療・予防に十分な血中濃度が得られるという報告がある
- CAPD患者)30 mgを週 1 回投与で、治療・予防に十分な血中濃度が得られるという報告がある
ザナミビル【吸入剤】:減量する必要なし
ラニナミビル【吸入剤】:一部、腎排泄だが、腎不全患者でも常用量(40 mg単回吸入)が使用できる
ペラミビル【点滴】:腎排泄
- 透析患者)通常の 1/6 量に相当する 50 〜100 mgを透析後に投与する(透析性あり)
- 血液透析患者)初回 100 mg,以後透析終了 2 時間後に 100 mg投与
バロキサビルマルボキシル:胆汁中排泄
- 腎不全患者でも常用量(20 mg錠 2 錠単回経口投与)が使用できる
- 2023 年3月に「重症患者や免疫不全患者のインフルエンザ治療において,バロキサビルを選択することが可能であるが,推奨/非推奨を論じることのできるエビデンスはなく,重度の免疫抑制状態ではウイルス排出期間の遷延に留意が必要である」と提言は改訂された
ファビピラビル:
- 日常的に使用する薬剤ではなく,他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し,本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ,患者への投与が検討される
Ⅹ 新型コロナウイルス感染症
XI 帯状疱疹
2) 帯状疱疹に罹患した透析患者は,72 時間以内に抗ウイルス薬を開始することを推奨する.
多くの薬剤は,腎機能用量を考慮して投与することを推奨する.(Level 1 B)
- 帯状疱疹に罹患した患者は,皮疹出現後,72 時間以内にアシクロビル・バラシクロビル・ ファムシクロビル・アメナメビルのいずれかの内服を開始し,7 日間服用する。
- 発症 5日以降であっても,新規の皮膚病変が出現している場合や,合併症をきたしている場合には投与が推奨される
- 腎不全患者:アメナメビル以外は、用量調節が必要。透析日は、透析後に内服
- アシクロビル 1 回 400 mg 1 日 1 回 透析日は透析後内服,量は体重によって決定
- ファムシクロビル 1 回 250 mg 週 3 回透析後
- バラシクロビル 1 回 500 mg 週 3 回透析後
- アメナメビル 1 回 400 mg 1 日 1 回 (食後内服を推奨)
- 肝炎,肺炎,中枢神経感染症,三叉神経第一枝の領域の感染が疑われる場合には,経静脈的投与が望ましい
- アシクロビル点滴静注 1回3.5 mg/kg 週 3回透析後
- 透析患者におけるアシクロビルの使用は用量を調整したとしても,アシクロビル脳症をき たすことがあることに注意する