家族性高コレステロール血症治療薬

家族性高コレステロール血症(FH)治療薬

FH とは、LDL受容体の遺伝子変異によりLDL受容体蛋白が欠損し、あるいはその機能が大きく障害されて、高LDL血症が引き起こされる
 
ヘテロ接合体とホモ接合体は、出現する症状や総コレステロールの値の程度、治療への反応性が全く異なり、その管理においても全く別の取り扱いをする必要がある
FHホモ接合体は、出生時より著明な高LDLコレステロール血症を呈する
 

薬剤名・作用機序

LDL低下療法の薬のうち、最近開発されている薬で、FHに適応があるものを以下に挙げた
抗ANGPTL3モノクローナル抗体
エビナクマブ
エビナクマブ(遺伝子組換え)(エヴキーザ点滴静注液)
効能又は効果:
ホモ接合体家族性高コレステロール血症
用法・用量:
通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注する。
  • 作用機序)ANGPTL3(主に肝臓に発現するアンジオポエチン様タンパク質ファミリーのひとつ)を阻害することで、LDL受容体濃霧と関係なく、LDL-C を低下させる
抗PCSK9モノクローナル抗体
エボロクマブ
効能又は効果
家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。 ・心血管イベントの発現リスクが高い ・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない
用法・用量:
〈家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体及び高コレステロール血症〉
通常、成人にはエボロクマブ(遺伝子組換え)として140mgを2週間に1回又は420mgを4週間に1回皮下投与する。
〈家族性高コレステロール血症ホモ接合体〉
通常、成人にはエボロクマブ(遺伝子組換え)として420mgを4週間に1回皮下投与する。効果不十分な場合には420mgを2週間に1回皮下投与できる。なお、LDLアフェレーシスの補助として本剤を使用する場合は、開始用量として420mgを2週間に1回皮下投与することができる。
  • 作用機序)LDL受容体の分解を促進するプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)の作用を阻害する
 
siRNA製剤
インクリシラン
インクリシランナトリウム(レクビオ皮下注)
効能又は効果:
家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。 ・心血管イベントの発現リスクが高い ・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない
用法及び用量:
通常、成人にはインクリシランナトリウムとして1回300mgを初回3ヵ月後に皮下投与し、以降6ヵ月に1回の間隔で皮下投与する。
  • 作用機序)肝臓の PCSK9 mRNA の分解を促進することで、肝細胞上の LDL 受容体の発現を増加させる
 
MTP阻害薬
ロミタピド
ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッドカプセル)
効能又は効果:
ホモ接合体家族性高コレステロール血症
用法及び用量:
通常、成人には、1日1回夕食後2時間以上あけて、ロミタピドとして5mgの経口投与から開始する。忍容性に問題がなく、効果不十分な場合には2週間以上の間隔をあけて10mgに増量する。さらに増量が必要な場合には、4週間以上の間隔で忍容性を確認しながら段階的に20mg、40mgに増量することができる。
  • 作用機序)MTP に直接結合して脂質転送を阻害し、リポタンパクの合成を阻害する
 

代表的な副作用

 

特徴

 

食事療法

食事療法
 
The Japan Diet 
日本動脈硬化学会が推奨している、動脈硬化予防に役立つ日本食パターンの食事(The Japan Diet)
食事療法・運動療法に加えて、薬物治療を行う
服用薬との関連
 
ロミタピド:
ロミタピド服用中は低脂肪食(脂肪由来のカロリーが摂取カロリーの20%未満)を摂取する<胃腸障害を軽減するため>
脂溶性栄養素の吸収も低下するおそれがあるため、本剤服用中は、食事に加えてビタミンE、リノール酸、αリノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を毎日摂取