Liang L, J Clin Hypertens (2022) [PMID: 35234349]
- ネットワークアナリシス
- DHPCCBs 単剤治療と末梢性浮腫
- ニフェジピン (SUCRA 81.8%)
- ニソルジピン (SUCRA 78.6%)
- ニカルジピン (SUCRA 77.2%)
- アムロジピン (SUCRA 58.5%)
- ダロジピン (SUCRA 52.4%)
- イスラジピン (SUCRA 48.8%)
- フェロジピン (SUCRA 47.3%)
- レルカルニジピン (SUCRA 26.2%)
- プラセボ (SUCRA 16.5%)
- ラシジピン (SUCRA 12.8%)
ニフェジピン
ニフェジピン（アダラート／セパミット）
［ニソルジピン］
販売中止
アムロジピン
アムロジピンベシル酸塩（アムロジン／ノルバスク）
［ダロジピン］
［イスラジピン］
［レルカルニジピン］
［ラシジピン］
- 対策：
- RAS阻害薬との併用が有用
Ca 拮抗薬による末梢性浮腫のメカニズム
論文の内容
AI まとめ
Title / タイトル
Comparative peripheral edema for dihydropyridines calcium channel blockers treatment: A systematic review and network meta‐analysis
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬治療における末梢性浮腫の比較：システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス
Journal Name & Publication Year / 雑誌名と出版年
The Journal of Clinical Hypertension, 2022年
First and Last Authors / 第一および最後の著者
First Author: Ling Liang
Last Author: Hoan Linh Banh
First Affiliations / 第一所属機関
Department of Cardiology, The First Affiliated Hospital of Xiamen University, Xiamen, China
Abstract / 要旨
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬（DHPCCBs）は、高血圧および慢性冠動脈疾患の治療に広く使用されているが、下肢を中心とする末梢性浮腫を誘発することが多い。本研究では、DHPCCBs単剤およびRAS（レニン-アンジオテンシン系阻害薬）との併用療法が浮腫に及ぼす影響について、RCTに基づくシステマティックレビューおよびネットワークメタアナリシスを実施した。3312報から71件の研究（56,283人）が含まれ、浮腫発生率の評価とSUCRA（累積ランク曲線下面積）によるランク付けが行われた。ニフェジピンは浮腫発生率が最も高く（SUCRA 81.8%）、ラシジピンは最も低かった（SUCRA 12.8%）。ニフェジピン＋ARBは浮腫軽減に寄与せず、アムロジピン＋ACE阻害薬の併用が最も効果的であった（SUCRA 16%）。
Background / 背景
DHPCCBsは、末梢血管拡張作用により高血圧や冠動脈疾患に有効であるが、浮腫の副作用が治療中断や減量の原因となる。従来の研究はペアワイズメタアナリシスによる浮腫発生率の比較に留まり、ネットワークメタアナリシスは実施されていなかった。
Methods / 方法
RCTを対象に、6つのデータベースおよびGoogle Scholarから包括的に文献を検索。DHPCCBs単剤および他の降圧薬やプラセボとの比較試験、また併用療法の試験を含めた。バイアス評価にはCochraneのリスクツールを使用。SUCRAによるランク付けとネットワークフォレストプロットをStataを用いて作成。
Results / 結果
・71件の研究（被験者数：56,283人）が対象
・単剤DHPCCBsによる浮腫発生率は0%～77.4%
・ニフェジピンが最も浮腫を引き起こしやすく（SUCRA 81.8%）、ラシジピンが最も少なかった（SUCRA 12.8%）
・ニフェジピン＋ARBは浮腫軽減に無効（SUCRA 92.3%）
・アムロジピン＋ACE阻害薬の併用が最も有効（SUCRA 16%）
Discussion / 考察
DHPCCBsの浮腫発生は薬剤によって大きく異なり、新しい世代やRAS阻害薬との併用で軽減が可能である。臨床では薬剤の選択と併用による個別化が重要。
Novelty compared to previous studies / 先行研究と比較した新規性
本研究は、DHPCCBsの浮腫発生リスクをSUCRAで包括的にランク付けし、単剤・併用療法の双方を網羅的に評価した初のネットワークメタアナリシスである。
Limitations / 限界
・対象研究の一部で割付隠蔽が不十分
・研究間の異質性や併用薬の種類が多様
・英語と中国語文献に限定
Potential Applications / 応用可能性
浮腫の副作用を最小限に抑えたDHPCCBsの選択や、適切な併用療法による治療計画立案に役立つ。高血圧や心疾患治療における個別化医療の推進に貢献する可能性がある。