注意が必要な一般名処方/ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質外用薬が一般名処方されていたとき、どれを調剤したら良いですか?
A: 剤型がたくさんあります。一般名処方のときに変更可能な製剤であっても、製剤の特徴が大きく異なるものもありますので、注意が必要です。
一般名処方とは
処方せんに記載する名称は、薬価基準に収載されている品名を書くほか、一般的名称に剤形及び含量を付加して記載する(以下「一般名処方」)ことも可能です。
一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)は、厚生労働省のページで公開されています。
一般名処方の医薬品を調剤する時の注意点
薬局では、一般名処方された医薬品から、どの薬剤を調剤したら良いかを判断します。
一般名コードは、薬価基準収載医薬品コードの上9桁に続いて、「ZZZ」の3桁がつけられています。
一般名処方の場合、基本的に、この薬価基準収載医薬品コードの上9桁が共通していれば、調剤することが可能です。
注意が必要な一般名処方
ヘパリン類似物質外用薬
ヘパリン類似物質外用薬は、多くの剤型が開発されており、品名と一般名の対応がわかりづらいものがあるため、注意が必要です。
ヘパリン類似物質外用薬/剤型一覧
ヘパリン類似物質外用薬には、下記の種類があります。
|ヘパリン類似物質外用薬/ゲル剤
水溶性基剤のゲル剤には、以下のような製剤があります。
|ヘパリン類似物質外用薬/乳剤性基剤(油中水型)
乳剤性基剤の製剤については、十分に注意が必要です。
3339950M1ZZZ 【般】ヘパリン類似物質軟膏0.3%
一般名処方マスタでは「軟膏」という名称ですが、w/o 型(油中水型)の乳剤性基剤です。
準先発品は「ソフト軟膏」という名称であり、後発品は「油性クリーム」という名称です。
剤型の名称が違うため、混乱する可能性がありますが、コードを見ると、同一の剤型であるとわかります。
|ヘパリン類似物質外用薬/乳剤性基剤(水中油型)
3339950M1ZZZ 【般】ヘパリン類似物質軟膏0.3%
一般名処方マスタでは「クリーム」剤で、o/w 型(水中油型)の乳剤性基剤です。
準先発品も後発品も、剤型の名称は「クリーム」です。
チモール:保存剤として使用される物質で、特有の芳香があります(それを嫌がる方も中にはいらっしゃいます)
|ヘパリン類似物質外用薬/外用液
準先発品も後発品も、剤型の名称は、「ローション」でありコードも同一ですが、製品の性状は大きく異なるため、注意が必要です。
準先発品は、白色でどろっとした、乳剤性ですが、後発品は、メーカーによって、澄明なローション(液状)と白色の乳剤状の2種類があり、性状は大きく異なります。
乳剤性/固形に近い
|ヘパリン類似物質外用薬/スプレー剤
3339950R1ZZZ 【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3%
コードは同一ですが、製剤の性状が大きく異なるため、注意が必要です。
準先発品は、ガスで細かい泡状のフォームとして噴出される製剤のみですが、後発品には、溶液を噴霧する外用するスプレーと、溶液を泡状に出す泡状スプレー剤(泡状の手洗い石鹸のよう)があります。また、1本の規格が異なることにも注意が必要です。
例えば、処方内容が「【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 92g」だった場合、
調剤する医薬品は、「ヒルドイドフォーム0.3% 1本 (92g)」となります。
もし、患者様の希望や調達の都合などの理由で、後発品の外用スプレーを調剤する場合、「1本=100g」であるため、現状の規則では、疑義照会が必要になります。

Rp)
【般】ヘパリン類似物質スプレー 0.3% 92g
この処方の場合、
- ヒルドイドフォーム 92g 1本を調剤します。
「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー」を調剤する場合、処方箋に記載されている総量を、「100g」と変更する必要があるため、疑義照会が必要です。
(事前合意プロトコルの場合は別)
ヘパリン類似物質外用薬/容器
- ヒルドイドソフト軟膏
- 25g:ネジ式チューブ
- 50g:キャップ式チューブ
- ヒルドイドクリーム
- 25g:ネジ式チューブ
- 50g:キャップ式チューブ
変更内容)2024/12/13 医薬品リスト更新
変更内容)2025/06 添付文書変更・・各製剤で、ヘパリン類似物質製剤の性状に関する添付文書改訂が行われている。「3.2 製剤の性状」に、剤形追加等。