Feldman M, Ther Clin Risk Manag (2022) [PMID: 36573102]

薬剤性パーキンソン症候群 (DIP)

原因薬剤

<ドパミン受容体遮断作用>
    • FGA>SGA
    • 用量依存性であるため、高用量のSGAの方が、FGAよりハイリスクの可能性もある
    • 特に注意:
  • SGA
    • 高齢者で安全:のみ
 
  • 非抗精神病薬性神経遮断薬
    • ・・・フェノチアジン誘導体
      • メトクロプラミド、クレボプリド、プロメタジン、ドンペリドン
      • 特に、小児や高齢者では注意が必要
      • ドンペリドンはBBBを通過しにくいが、だからといってDIPが低いわけでもない
    • (スルピリド等)は、DIPのリスクは非常に低い
 
<中枢のドーパミンの貯蔵や合成を枯渇させる>
  • など
  • 抗うつ薬
    • 薬剤の作用機序から見ると、関係なさそう
    • しかし、抗うつ薬使用後のパーキンソニズムの報告がある (21件)
      • SSRI (12)
      • イミプラミン類(アミトリプチリン (1)、クロミプラミン (1)、ドスレピン (1))
      • ベンラファキシン (5)
      • ミルタザピン (1)
    • L-ドパを使用している患者に、セロトニン作動性抗うつ薬を開始すると、パーキンソン病が急速に進行する
    • 抗うつ薬はDIPを引き起こすリスクは低いがゼロではないと考えるべき
 
  • 抗てんかん薬
    • ・・・5%
 
  • カルシウム拮抗薬
      • FCIP:フルナリジン-シンナリジン誘発性パーキンソニズム
      • ドパミンの貯蔵、放出、およびドパミン受容体の機能を妨害する作用がある
      • 非対称性運動性-硬直症候群(他の薬剤によるDIPとは異なる特徴)
    • フルナリジン、シンナリジン以外のカルシウム拮抗薬はリスクが低い
 
  • 非神経遮断性気分安定薬
      • すでにPDの既往がある患者において、ブロモクリプチンと併用することで、DIP出現
 
 
そのほか、図1に原因薬を挙げた
 

症状の特徴

DIPとPDの鑑別
  • DIP
    • 遅発性症候群の併発
      • 古典的な口腔頬側舌およびその他の顔面ジスキネジア
      • 呼吸性ジスキネジア
      • アカシジア
      • ハミング
      • ジストニア
      • ミオクローヌス
      • チック
      • コレアchorea 不随意運動
  • PD でみられる
    • NMSS(Non-Motor Symptoms Scale)のスコアが有意に高い
    • 尿症状
    • 睡眠障害
    • 集中力の問題
    • 無嗅覚
    • PDで多い
      • 異常な嗅覚、性機能障害、便秘
唾液漏出・・DIPとPDの両方で見られる
 

DIP の治療

基本的な考え方
  • 減量
  • 原因薬剤の中止
  • 代替薬剤への切り替え
DIP の治療
    • トリヘキシフェニジルやベンズトロピン
      • 神経遮断薬を服用して いる患者における予防的抗コリン薬の使用は推奨されない
  • 、オスモレックス(徐放性製剤)
    • DIP 治療薬としてFDA承認
  • ドパミン/ドパミン作動薬
    • ×・・DIPの治療薬には用いない
 
原因薬剤の中止
  • DIPの症状は原因薬剤の中止後6ヵ月までに消失するはず
  • 長期間持続する例もある
    • 投薬中止後9ヵ月経過してもパーキンソニズムが持続している例もあった