Seppala LJ, J Am Med Dir Assoc (2018) [PMID: 29402652]
PICO形式での要約
- P (患者 / 対象者):
60歳以上、または平均年齢70歳以上の高齢者
- I (介入 / 暴露):
向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬)の使用
- C (比較):
これらの薬剤を使用していない高齢者
- O (アウトカム):
転倒リスクの増加
主な結果:
- 転倒リスクを有意に増加させる向精神薬:
- 抗精神病薬(OR 1.54, 95% CI 1.28-1.85)
- 抗うつ薬(OR 1.57, 95% CI 1.43-1.74)
- 三環系抗うつ薬(TCA)(OR 1.41, 95% CI 1.07-1.86)
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(OR 2.02, 95% CI 1.85-2.20)
- ベンゾジアゼピン系薬(OR 1.42, 95% CI 1.22-1.65)
- 長時間作用型ベンゾジアゼピン(OR 1.81, 95% CI 1.05-3.16)
- 短時間作用型ベンゾジアゼピン(OR 1.27, 95% CI 1.04-1.56)
- 不明瞭な点:
- 向精神薬のサブグループごとのリスクの違いが明確ではない
- 短時間作用型ベンゾジアゼピンやSSRIが比較的安全かどうかは不明
- 処方バイアス(転倒リスクが高い患者にこれらの薬が処方される傾向)が考慮されていない
- 研究間の比較を正確に行うために、薬剤の分類(ATC分類)の統一が必要
結論:
抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬は転倒リスクを一貫して増加させることが示された。特定の薬剤のリスクの違いや、転倒リスクの低い代替薬の特定にはさらなる研究が必要である。