Kim DH, J Am Geriatr Soc (2011) [PMID: 21649634]

PICO形式での要約

• P（Patient/対象者）: 認知機能障害のある高齢者（地域および介護施設入居者）

• I（Intervention/介入）: コリンエステラーゼ阻害薬（ChEIs）およびメマンチン

• C（Comparison/比較）: プラセボ

• O（Outcome/結果）: 転倒、失神、骨折、偶発的外傷

研究方法

• 無作為化対照試験（RCT）54件（プラセボ対照試験および拡張研究）

• データベース検索: MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register（言語制限なし、2009年7月まで）

• 対象アウトカム: 転倒、失神、骨折、偶発的外傷

結果

コリンエステラーゼ阻害薬（ChEIs）

• 失神リスク: 有意に増加（OR = 1.53, 95% CI: 1.02-2.30）

• 転倒リスク: 有意差なし（OR = 0.88, 95% CI: 0.74-1.04）

• 骨折リスク: 有意差なし（OR = 1.39, 95% CI: 0.75-2.56）

• 偶発的外傷: 有意差なし（OR = 1.13, 95% CI: 0.87-1.45）

メマンチン

• 骨折リスク: 有意に低下（OR = 0.21, 95% CI: 0.05-0.85）

• 転倒リスク: 有意差なし（OR = 0.92, 95% CI: 0.72-1.18）

• 失神リスク: 有意差なし（OR = 1.04, 95% CI: 0.35-3.04）

• 偶発的外傷: 有意差なし（OR = 0.80, 95% CI: 0.56-1.12）

結論

• ChEIsは失神リスクを増加させるが、転倒・骨折・偶発的外傷には影響しない

• メマンチンは骨折リスクを低下させる可能性があるが、他のイベントには影響しない

• 認知機能のタイプや重症度、居住状況、追跡期間による影響の違いはみられなかったが、報告不足やイベント数の少なさにより、潜在的なリスクやベネフィットを完全には除外できない

臨床的示唆

• ChEIs使用時は失神リスクの管理が重要

• メマンチンは骨折リスクを低下させる可能性があるが、さらなる研究が必要