Wei YJ, J Gerontol A Biol Sci Med Sci (2017) [PMID: 27247274]

PICO形式での要約

  • P(Patient/対象者): アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)を持ち、中等度から重度の行動症状を示す介護施設入居者
  • I(Intervention/介入): 抗うつ薬(新規使用者)
  • C(Comparison/比較): 抗精神病薬(新規使用者)
  • O(Outcome/結果): 転倒および骨折リスク

研究方法

2007~2009年のメディケア請求データとMinimum Data Set 2.0を使用し、新規に抗うつ薬または抗精神病薬を開始した介護施設入居者を対象に解析。離散時間生存モデルを用いて、転倒、骨折、およびそれらの複合リスクを比較。

結果

  • 骨折リスク
    • 抗うつ薬使用者は、抗精神病薬使用者と比較して有意に高い骨折リスクを示した(調整ハザード比 [HR] = 1.35; 95% CI: 1.10-1.66)。
  • 転倒または骨折の複合リスク
    • 抗うつ薬使用者は抗精神病薬使用者と比較して有意に高い転倒・骨折リスクを示した(調整HR = 1.16; 95% CI: 1.02-1.32)。

結論

抗うつ薬は抗精神病薬よりも高い転倒および骨折リスクと関連しており、ADRD患者の行動症状管理において慎重なリスク評価が必要である。高齢者における抗うつ薬の使用は、転倒リスクを考慮しながら適切に処方されるべきである。