6.2 糖尿病用剤/注射剤 注意事項
高温環境を避ける
高温環境下では、ゲル化や懸濁液の濁度減少などの変化が起こるため、高温環境下に放置しないことが不可欠である。
どのくらいの放置がダメなのか?
- 朝から受診し、帰宅するまでに自動車の助手席にインスリン製剤を放置
報告例
2007年8月5日(日中最高気温34.3℃)午前9時に調剤を受け、18時まで営業車の助手席上にインスリン製剤を放置。翌朝、外観変化に気づいた。
引用元)西村 博之ら:高温環境下におけるインスリン製剤の簡易保存法, 糖尿病, 51 巻, 11 号, p. 1017-1023 (2008). https://doi.org/10.11213/tonyobyo.51.1017
どのように保管したら良いのか?
自動車内で保管が必要な場合、保冷剤と保冷バッグかクーラーボックスを使用する
150gから350g程度の凍結保冷剤をタオルで包み保冷バッグまたはクーラーボックスに入れて密閉し後部座席下に保管すると,急激な温度変化を与えず30℃未満で保管可能
引用元)西村 博之ら:高温環境下におけるインスリン製剤の簡易保存法, 糖尿病, 51 巻, 11 号, p. 1017-1023 (2008). https://doi.org/10.11213/tonyobyo.51.1017
凍結
凍結は、注入器の破損やインスリンの凝集を招くため、使用前の製剤は、凍結しないように、冷蔵庫内の保管場所に配慮が必要
凍結時の性状変化
引用元)朝倉 俊成, 清野 弘明:「凍結によるインスリン製剤の性状変化観察と凍結後解凍したインスリン製剤の使用防止のための患者説明のありかた」, 糖尿病, 46 巻, 9 号, p. 767-773 (2003). https://doi.org/10.11213/tonyobyo1958.46.767
事前に相談
海外旅行の場合、時差を考慮したインスリン注射の打ち方について、必ず、事前に主治医に相談する。
英文カード
食事
航空会社によっては、低糖質食を準備している場合もあるので、予約する時に事前に確認しておく。
インスリン自己注射製剤
手荷物
注射薬は、必ず、手荷物として持ち込む。(貨物室では、凍結の心配があるため。)
液体持ち込みのルールに従って、透明のジップ袋に入れておくと良い。
荷物チェックを受ける際には、注射器を携帯していることがわかる書類も一緒に携帯しておく。
インスリンポンプ
ボディチェック
空港保安検査場で、X線検査やボディースキャナーを通さない。
ボディチェックを受ける前に、検査員に、「インスリンポンプを装着していて、検査に通すことができない」ことを伝える。
気圧の影響
気圧の変化によって、インスリンの注入量が影響を受けることが報告されています(2025年2月)。
飛行機に乗る予定がある方は、前もって早めに主治医に相談。
こまめに血糖測定をして確認することが推奨されている。
航空会社
インスリンポンプの製造元
日本メドトロニック
Q. インスリンポンプ療法を行っていても、旅行できますか。
A. インスリンポンプを使用していることで、旅行が制限されることはありません。
ただし、インスリンポンプにトラブルが生じた場合に対応できるよう、代替手段としてペン型注射器を持っていく、旅行先の医療機関など緊急連絡先を確保しておくなどの工夫は必要です。
また、飛行機を利用される際、空港保安検査場(セキュリティーゲート)での手荷物検査などのX線検査やボディースキャナーにインスリンポンプを通さないでください(金属探知検査は通しても問題ありません)。
空港保安検査場を通る場合は、保安検査官にインスリンポンプを使用していることを申し出てください。
(インスリンポンプ療法はじめてガイド)