ワルファリンとPT-INRモニタリング・相互作用
症例
78歳男性。
心房細動のためワルファリンを服用中。
定期採血でPT-INRが4.5(目標:2.0〜3.0)と
著しく延長していた。
最近、風邪のため自己判断で市販の総合感冒薬を服用していた。
また、食欲が落ちてビタミンKを含む食品の摂取が減っていた。
PT-INRが上昇した原因として最も考えられるものはどれか。
市販薬との相互作用とビタミンK摂取の減少
ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子の合成を阻害する抗凝固薬であり、
有効治療域が非常に狭い。
PT-INR上昇の原因:
① 市販薬との相互作用
→ 解熱鎮痛薬(アスピリンなど)は出血リスク↑
→ 一部の薬はCYP酵素を阻害しワルファリンの代謝を低下させる
② ビタミンKの摂取減少
→ ビタミンKはワルファリンと拮抗する
→ 摂取が減ると抗凝固作用が増強
↓
PT-INRが上昇(出血リスク増大)
※ ワルファリン服用中は定期的なPT-INRモニタリングが必須。
※ ビタミンKの摂取は一定量を維持する(急に増減しない)。
※ 市販薬やサプリメントを使用する際は必ず医師・薬剤師に相談。
ワルファリンの用量が多すぎる
ワルファリンの用量は変わっていない。市販薬の追加とビタミンK摂取の減少という変化がPT-INR上昇の原因として最も考えられる。
肝機能の低下
肝機能低下で凝固因子産生が低下しPT-INRが延長することはあるが、市販薬の使用開始と食事変化というタイミングから、相互作用が最も考えられる。
風邪による体調不良
発熱で代謝が亢進しワルファリンの効果に影響する可能性はあるが、市販薬との相互作用+ビタミンK摂取減少が直接的な原因として最も考えられる。
ワルファリンの効果を増強させる薬や食品にはどのようなものがありますか?
効果を増強(PT-INR上昇→出血リスク↑):
- NSAIDs(アスピリンなど)…出血リスク増大
- 抗菌薬(ニューキノロン系など)…腸内細菌がビタミンK産生↓
- アゾール系抗真菌薬…CYP阻害
- 納豆を急にやめる…ビタミンK摂取↓
効果を減弱(PT-INR低下→血栓リスク↑):
- ビタミンKを多く含む食品(納豆・ブロッコリー・ほうれん草)の急な大量摂取
- CYP誘導薬(リファンピシン・カルバマゼピンなど)
- セントジョーンズワート(健康食品)