KDIGO 2024 clinical practice guideline on evaluation and management of chronic kidney disease: A primer on what pharmacists need to know

Title (English and Japanese)
KDIGO 2024 clinical practice guideline on evaluation and management of chronic kidney disease: A primer on what pharmacists need to know
KDIGO 2024年版 慢性腎臓病の評価と管理に関する診療ガイドライン:薬剤師が知っておくべきポイント
Journal Name & Publication Year
American Journal of Health-System Pharmacy(AJHP), 2025年
First and Last Authors
Linda Awdishu, Rebecca Maxson
First Affiliations
Division of Clinical Pharmacy, University of California, San Diego Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, La Jolla, CA, USA
Abstract(要旨)
この論文は、2024年に改訂されたKDIGO慢性腎臓病(CKD)診療ガイドラインの主要な更新内容を解説し、特に薬剤師がその実践において果たすべき重要な役割に焦点を当てている。新ガイドラインは、推定糸球体濾過率(eGFR)の算出においてシスタチンCの活用、SGLT2阻害薬の非糖尿病患者への適用、フィネレノンやGLP-1受容体作動薬の腎保護作用、薬剤による腎毒性の回避、急性腎障害の予防などを推奨している。薬剤師は薬剤管理、患者教育、薬剤投与量の調整などを通じて、CKD患者のアウトカム改善に貢献できると結論付けている。
Background(背景)
CKDは世界で8億5000万人が罹患している複雑な疾患であり、KDIGOはその管理に関するガイドラインを策定している。2012年のガイドラインから12年ぶりの改訂である2024年版では、腎機能評価方法の改良、リスク予測の強化、新しい治療法の導入が主な変更点である。
Methods(方法)
本論文では、KDIGO 2024年ガイドラインの更新点を要約し、薬剤師が知っておくべき重要事項を整理している。主に、eGFRの推定方法、薬剤療法(SGLT2i、RAASi、スタチン、GLP1RA、フィネレノン)、高カリウム血症管理、薬剤投与量の調整、急性腎障害の予防、薬剤師の実践的役割に焦点が当てられている。
Results(結果)
  • eGFRの推定にはSCrとシスタチンCの併用が推奨される
  • SGLT2iは非糖尿病性腎疾患にも有効
  • フィネレノンはT2D合併CKDの心腎アウトカムを改善
  • GLP1RA(例:セマグルチド)も腎保護効果を示す
  • 薬剤投与量はSCrおよびeGFRのBSA補正値に基づいて調整すべき
  • 高カリウム血症の管理には、カリウム交換薬などを使用
  • 急性疾患時のSADMANs(特定薬の中止指導)によるAKI予防の重要性が強調される
Discussion(考察)
ガイドライン改訂によって、eGFRの評価法や新薬の使用が見直され、より正確で個別化された治療が可能になった。薬剤師は、薬剤適正使用、患者教育、チーム医療における中心的存在として期待されている。
Novelty compared to previous studies(既存研究との差異・新規性)
  • 2012年版ではeGFRにSCrを主に使用していたが、2024年版ではSCrとシスタチンCの併用推奨が明記された
  • フィネレノンやGLP1RAの心腎保護効果に関するエビデンスが新たに追加された
  • 高カリウム血症を理由にRAASiを中止しない方針や、その管理法が明確化された
Limitations(限界)
  • CKD進行抑制におけるピラーモデル(複数薬剤同時使用)の有効性に関するエビデンスが不足
  • 新しいeGFR推定式の薬剤投与設計への影響については更なる検討が必要
Potential Applications(応用可能性)
  • CKD患者に対する薬物治療の最適化
  • 薬剤師による薬物管理、教育、処方提案の実践例として利用可能
  • 電子カルテへのeGFR新算出式の実装支援
  • 急性疾患時の服薬指導や薬剤性腎障害の回避戦略に活用可能
 

SADMANSとは

SADMANSは、腎臓を守るために「シックデイ(体調不良時)」に一時的に中止を検討すべき薬剤群の頭文字を取ったものです。特に糖尿病患者や腎機能が低下している方が、脱水や感染症、発熱、下痢、嘔吐などの体調不良時に服用を続けると、急性腎障害(AKI)や重篤な低血糖などのリスクが高まるため、注意が必要です。

SADMANSの構成薬剤

文字薬剤名(英語)主な薬剤例
SSulfonylureasグリベンクラミド、グリクラジド等
AACE inhibitorsエナラプリル、リシノプリル等
DDiureticsフロセミド、ヒドロクロロチアジド等
MMetforminメトホルミン
AARBs (アンジオテンシンII受容体拮抗薬)ロサルタン、バルサルタン等
NNSAIDsロキソプロフェン、イブプロフェン等
SSGLT2 inhibitorsダパグリフロジン、エンパグリフロジン等