中枢性鎮咳薬

中枢性鎮咳薬

1. 定義

延髄にある「咳中枢」(孤束核)を直接抑制し、咳反射の閾値を高めることで乾性咳嗽を軽減する薬剤群。

2. 作用機序

  • 麻薬性鎮咳薬(オピオイド系)
    • μ(ミュー)受容体作動:コードイン、ジヒドロコデインがμ受容体に結合し、神経伝達物質の放出を抑制 → 咳中枢の興奮を抑える
  • 非麻薬性鎮咳薬(非オピオイド系)
    • σ(シグマ)受容体作動・NMDA受容体拮抗:デキストロメトルファンがシグマ受容体を介して中枢神経を抑制し、咳反射を抑える
    • その他:ノスカピンはNMDA拮抗作用も一部示唆される

3. 薬理作用ごとの特徴

分類代表例作用強度特徴・メリット主な副作用
オピオイド系コデイン、ジヒドロコデイン強力即効性が高く、頑固な咳にも有効依存性、便秘、鎮静、呼吸抑制
非オピオイド系デキストロメトルファン、ノスカピン中程度~やや弱い依存性が低く、比較的安全眠気、めまい、悪心、頭痛

4. 主な薬剤例

5. 対象疾患

  • 乾性咳嗽を伴う上気道炎・咽頭炎
  • 急性・慢性気管支炎の空咳
  • 咳込みによる胸部痛や睡眠障害の緩和

6. 注意点・副作用

  • 依存・乱用リスク(特にオピオイド系)
  • 呼吸抑制(過量投与時)
  • 便秘、吐き気、鎮静(オピオイド系)
  • 眠気、めまい(非オピオイド系)
  • 鎮痛薬・睡眠薬などとの併用で中枢抑制増強
  • 小児(6歳未満)や高齢者は過量感受性のため慎重投与

7. 類薬との使い分け

  • 乾性咳嗽:まず中枢性鎮咳薬を選択。依存リスクを避けるならデキストロメトルファンなど非オピオイド系を。
  • 湿性咳嗽(痰を伴う咳):去痰薬や気道分泌調整薬を優先し、必要に応じて中枢性鎮咳薬を併用。
  • 末梢性鎮咳薬:気道末梢の受容体をブロックしたい場合に(痰が絡まず、末梢性刺激が主因の咳に)選択。
ポイント:
臨床では「咳のタイプ」「患者の年齢・合併症」「副作用リスク」を総合的に判断し、オピオイド系か非オピオイド系か、あるいは末梢性鎮咳薬や去痰薬との併用を検討します。