Standards of Care in Diabetes

9. Pharmacologic Approaches to Glycemic Treatment: Standards of Care in Diabetes—2025

✅【概要まとめ】ADA 2025年版 糖尿病ケア基準「薬物療法による血糖コントロール」

🔹1. 1型糖尿病に対する薬物療法

  • インスリン療法は必須:ベータ細胞機能の欠如により、外因性インスリンが不可欠。
  • 治療方法の推奨
    • 多回注射(MDI)またはインスリンポンプ(CSII)の使用
    • インスリンアナログ(超速効型、持効型)が推奨され、低血糖リスクを軽減
    • 自動インスリン投与(AID)システムの利用も推奨
    • 持効型インスリン:U-300グラルギンやデグルデクなど
    • 吸入型インスリンも選択肢に(超速効)
  • 持効+追加(食直前)インスリンの組み合わせが基本
  • 総インスリン量の目安:0.4–1.0 単位/kg/日、うち30–50%は持効型

🔹2. 血糖モニタリング

  • 早期からの持続血糖モニタリング(CGM)の導入が推奨
    • 血糖コントロール、QOL、低血糖予防の面で有用
    • AIDシステムと組み合わせた治療が推奨される

🔹3. インスリン投与計画の種類(Table 9.1 より一部抜粋)

プラン特徴メリットデメリット
インスリンポンプ(AID含む)柔軟な調整・タイムインレンジ最大精密な投与、低血糖リスク減高コスト、装置装着の負担
MDI(多回注射)RAAまたはURAA+LAA柔軟性あり注射回数が多くなる
NPH+Rなど旧来型コスト抑制安価・簡便低血糖リスク高く、柔軟性に乏しい

🔹4. インスリン投与技術

  • 筋肉注射(IM)は避ける(吸収不安定・低血糖リスク)
  • 注射部位のローテーションが重要(脂肪萎縮や肥大予防)
  • 針の長さ:4mmペン針が安全性と忍容性に優れる

🔹5. 1型糖尿病への非インスリン薬の補助使用(adjunctive therapy)

  • プラメリンチド:A1Cの小幅な改善、体重減少
  • GLP-1作動薬(例:リラグルチド、セマグルチド):体重減、インスリン量減少、A1C改善
  • SGLT2阻害薬(例:ソタグリフロジンなど):A1C・体重・血圧改善→ただしDKAリスク増加に注意
  • 現時点での承認治療なし:C-ペプチド保存や進行予防に対する治療は研究段階

🔹6. 外科的治療

  • 膵移植・膵島移植:特に腎移植併施例や重度の低血糖エピソードに検討
  • 米国で2023年承認の膵島細胞治療(donislecel):重度低血糖持続例に適応