⚡
Ⅰc群:Naチャネル遮断薬
ひとことで
心筋の電気刺激が伝わる速さを強く抑え、異常な興奮が回り続ける状態を断ち切る薬効群です。心房細動などの上室性不整脈で使われますが、心筋梗塞後や心機能低下例では慎重な判断が必要です。Vaughan–Williams分類のⅠc群に相当します。[1]
どう効く?
作用点
心筋の電位依存性Na⁺チャネルを強力に遮断します。活動電位持続時間への影響は比較的小さい一方、心房・心室・His-Purkinje系の伝導を大きく遅らせます。
因果関係
Na⁺チャネルを強力に遮断
↓
心筋の興奮伝導が大きく遅くなる
↓
リエントリー回路や異常な頻脈が維持されにくくなる
↓
発作性心房細動などの頻脈性不整脈を抑える
主な薬
フレカイニド、ピルシカイニド、プロパフェノンなど。フレカイニドは頻脈性不整脈に用いられ、適応・用量は製剤の添付文書に従います。[2]
主な用途
- 発作性心房細動・心房粗動などのリズムコントロール
- 発作性上室性頻拍など
- 症例によっては心室性不整脈
心筋梗塞後、左室機能低下、心不全、著明な伝導障害では、催不整脈作用や陰性変力作用を考慮します。
患者さんには、どう説明する?
問い
この薬について、専門用語を使わず患者さんに説明するとしたら、どう説明しますか?
説明例
「心臓の電気信号が速く回り続けるのを抑え、脈のリズムを整える薬です。脈が遅い、めまい・失神、息切れやむくみ、動悸が増えるといった変化があれば、早めに知らせてください。」
薬理作用から、どんな副作用が考えられる?
問い
この薬の作用から、どのような副作用が起こりうるか考えてみましょう。
解説
強力なNa⁺チャネル遮断
↓
伝導が遅くなり、心筋収縮も抑えられることがある
↓
QRS延長、徐脈、房室ブロック、心不全悪化
↓
条件によっては新たな心室性不整脈
腎機能低下や高齢者では薬物が蓄積しやすく、投与量と心電図の変化を合わせて評価します。
患者では何を見る?
問い
この薬を使用している患者では、何を観察しますか?
観察ポイント
- 効果:動悸・脈の乱れの頻度、脈拍、心電図、発作の持続時間
- 見逃したくない変化:失神、脈拍の著しい低下、QRS延長、胸部症状、息切れ・浮腫
- 検査:心電図(PR・QRS)、血圧、腎機能、電解質。必要に応じて薬物血中濃度
- 生活5領域:食事量と脱水、排泄、睡眠、運動時の息切れ・めまい、認知機能・転倒
- +α:心筋梗塞・心不全の既往、併用薬、腎機能の変化、自己判断での増減・中止
関連する薬効群
- Ⅰa群・Ⅰb群:Naチャネル遮断薬
- Ⅱ群:β遮断薬
- Ⅲ群:Kチャネル遮断薬
- Ⅳ群:Caチャネル遮断薬
参考資料
- 日本循環器学会/日本不整脈心電学会『2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン』[1]
- PMDA 医療用医薬品情報(フレカイニド酢酸塩)[2]