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循環作動薬・昇圧薬

ひとことで

血管を収縮させたり、心臓の収縮力・心拍数を高めたりして、血圧と臓器への血流を支える薬効群です。主にショックや急性循環不全で使用し、原因治療、輸液、酸素化、補助循環などと組み合わせて、循環動態を連続的に評価しながら調整します。[1]

どう効く?

作用点

  • ノルアドレナリン:主にα₁受容体を刺激し、血管収縮によって血圧を上げる。β₁作用による心機能への影響もある
  • アドレナリン:α₁・β₁・β₂受容体を刺激し、血管収縮、心収縮力増強、気管支拡張を起こす
  • ドパミン:投与量によりドパミン受容体、β₁受容体、α₁受容体への作用が前面に出る。急性循環不全に用いられる[2]
  • ドブタミン:主にβ₁受容体を刺激し、心収縮力を高める。急性循環不全における心収縮力増強に用いられる[3]

因果関係

受容体を刺激 ↓ 血管収縮、心収縮力増強、心拍数変化、気管支拡張 ↓ 平均血圧・心拍出量・臓器灌流が変化 ↓ ショックや急性循環不全の循環を支える
血圧の数字だけを上げても、末梢循環や組織酸素化が改善しているとは限りません。血圧、尿量、意識、皮膚、乳酸値などを組み合わせて評価します。

主な薬

ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミン、ドブタミンなど。薬剤によって主作用、適応、投与量、投与経路、必要なモニタリングが異なります。
ノルアドレナリンは注入速度を調節して血圧を維持し、投与中止後は血圧上昇作用が比較的速やかに消失します。[4]

主な用途

  • 敗血症性ショック、急性低血圧、循環不全に対する血圧維持
  • 心原性ショックなどでの心拍出量・心収縮力の補助
  • 心停止・蘇生時のアドレナリン使用
  • アナフィラキシーに対するアドレナリン使用
  • 原因疾患の治療を行いながら、必要最小限の投与量で循環を支える
アドレナリン製剤の添付文書では、急性低血圧・ショック時の補助治療、心停止の補助治療などが示されています。一方、心筋酸素需要を増加させるため、ショックの原因や病態に応じた判断が必要です。[5]

患者さんには、どう説明する?

問い

この薬について、専門用語を使わず患者さんに説明するとしたら、どう説明しますか?

説明例

「血圧や心臓の働きが落ちて、脳や腎臓などに十分な血液が届きにくいときに、循環を支えるための薬です。点滴の量を細かく調整しながら、血圧だけでなく脈、尿量、意識、手足の冷たさなどを確認します。」

薬理作用から、どんな副作用が考えられる?

問い

この薬の作用から、どのような副作用が起こりうるか考えてみましょう。

解説

血管収縮 ↓ 末梢血流や皮膚・四肢の血流が低下することがある ↓ 四肢冷感、蒼白、末梢循環不全、投与部位の血管外漏出による組織障害
心収縮力・心拍数の増加 ↓ 心筋酸素需要と自動能が高まる ↓ 頻脈、動悸、心筋虚血、心室性不整脈、心不全悪化
β₂作用や代謝作用 ↓ 血糖・乳酸・K⁺などが変化することがある ↓ 高血糖、低K⁺血症、乳酸上昇など

患者では何を見る?

問い

この薬を使用している患者では、何を観察しますか?

観察ポイント

  • 効果:血圧・平均動脈圧、心拍出量、意識、尿量、乳酸値、呼吸状態
  • 循環:脈拍、心電図、末梢冷感、皮膚色、毛細血管再充満、四肢痛
  • 見逃したくない変化:急な血圧上昇・低下、頻脈、不整脈、胸痛、呼吸困難、意識変化、乏尿
  • 投与管理:薬剤名・濃度・投与速度、ルート、ポンプ設定、交換時の中断、血管外漏出
  • 生活5領域:食事・血糖変化、排泄(尿量・便通)、睡眠、活動耐容能、認知機能・せん妄
  • +α:ショックの原因、輸液量、酸素化、腎機能、電解質、血糖、乳酸、体温

関連する薬効群

  • β遮断薬:心拍数・心収縮力を抑える薬
  • 利尿薬:うっ血・体液量を調整する薬
  • ACE阻害薬・ARB・ARNI:慢性心不全などで心臓の負担を軽減する薬
  • 抗不整脈薬:循環作動薬投与中に生じる不整脈の評価と関連

参考資料

  • 日本循環器学会『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』[1]
  • PMDA 添付文書(ノルアドレナリン)[4]
  • PMDA 添付文書(ドパミン)[2]
  • PMDA 添付文書(ドブタミン)[3]
  • PMDA 添付文書(アドレナリン)[5]