H2-ブロッカー

薬効群

1. 定義と作用機序

H₂ブロッカー(H₂受容体拮抗薬)は、胃の壁細胞にあるヒスタミンH₂受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する薬剤群です。主に軽度〜中等度の胃酸過多症状や潰瘍の治療・予防に用いられます。
 

2. 作用機序

壁細胞のH₂受容体にヒスタミンが結合すると、cAMP経由でプロトンポンプが活性化され胃酸が分泌されます。H₂ブロッカーはこの受容体を可逆的に遮断し、ヒスタミンによる刺激を抑えて胃酸分泌を抑制します。
 

3. 薬理作用ごとの特徴

薬理作用特徴
胃酸分泌抑制主にヒスタミン刺激による酸分泌を抑制(夜間酸分泌に有効)
発現の速さ30分〜1時間以内と比較的速効性あり
耐性数日〜1週間程度で効果減弱(tachyphylaxis)を生じやすい
他の刺激(アセチルコリンやガストリン)には無効
 

4. 主な薬剤例

5. 対象疾患

  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎(軽症例)
  • 胃炎
  • Zollinger-Ellison症候群(補助的)
  • NSAIDs潰瘍の予防(PPIが使えない場合)
  • ストレス潰瘍予防(ICUなど)
  • 市販薬:胸やけ・胃もたれなどの一時的症状緩和
 

6. 注意点・副作用

注意点・副作用内容対策
薬剤耐性(tachyphylaxis)数日〜1週間で効果が弱くなることがある長期投与は避け、必要最小限に使用
精神神経症状高齢者で意識障害、せん妄の報告腎機能に応じた減量、夜間投与の注意
CYP阻害作用シメチジンなどは薬物相互作用が多い他剤との併用注意、ファモチジン推奨
腎排泄性が高い腎機能障害では蓄積しやすいCrClに応じて減量
ラニチジンNDMA(発がん性物質)混入のため販売中止他剤に切り替え済
 

7. 類薬との使い分け

比較項目H₂ブロッカーPPIP-CAB(タケキャブなど)
胃酸抑制効果中程度(夜間に有効)強力かつ持続非常に強力・即効性あり
効果発現速やか(30〜60分)遅め(1日かかる)速やか(1回目から)
耐性生じやすいほぼなしほぼなし
食事影響小さい投与タイミングに依存(食直前)影響なし
主な用途軽症GERD、NSAIDs潰瘍予防、OTC除菌、GERD、重度潰瘍GERD、除菌補助、PPI無効例など
安価・入手性○(後発品豊富)△(高価、新薬)
 
ポイント: