H2-ブロッカー
薬効群
H₂ブロッカー(H₂受容体拮抗薬)は、胃の壁細胞にあるヒスタミンH₂受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する薬剤群です。主に軽度〜中等度の胃酸過多症状や潰瘍の治療・予防に用いられます。
壁細胞のH₂受容体にヒスタミンが結合すると、cAMP経由でプロトンポンプが活性化され胃酸が分泌されます。H₂ブロッカーはこの受容体を可逆的に遮断し、ヒスタミンによる刺激を抑えて胃酸分泌を抑制します。
| 薬理作用 | 特徴 |
|---|---|
| 胃酸分泌抑制 | 主にヒスタミン刺激による酸分泌を抑制(夜間酸分泌に有効) |
| 発現の速さ | 30分〜1時間以内と比較的速効性あり |
| 耐性 | 数日〜1週間程度で効果減弱(tachyphylaxis)を生じやすい |
| 他の刺激(アセチルコリンやガストリン)には無効 |
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎(軽症例)
- 胃炎
- Zollinger-Ellison症候群(補助的)
- NSAIDs潰瘍の予防(PPIが使えない場合)
- ストレス潰瘍予防(ICUなど)
- 市販薬:胸やけ・胃もたれなどの一時的症状緩和
| 注意点・副作用 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 薬剤耐性(tachyphylaxis) | 数日〜1週間で効果が弱くなることがある | 長期投与は避け、必要最小限に使用 |
| 精神神経症状 | 高齢者で意識障害、せん妄の報告 | 腎機能に応じた減量、夜間投与の注意 |
| CYP阻害作用 | シメチジンなどは薬物相互作用が多い | 他剤との併用注意、ファモチジン推奨 |
| 腎排泄性が高い | 腎機能障害では蓄積しやすい | CrClに応じて減量 |
| ラニチジン | NDMA(発がん性物質)混入のため販売中止 | 他剤に切り替え済 |
| 比較項目 | H₂ブロッカー | PPI | P-CAB(タケキャブなど) |
|---|---|---|---|
| 胃酸抑制効果 | 中程度(夜間に有効) | 強力かつ持続 | 非常に強力・即効性あり |
| 効果発現 | 速やか(30〜60分) | 遅め(1日かかる) | 速やか(1回目から) |
| 耐性 | 生じやすい | ほぼなし | ほぼなし |
| 食事影響 | 小さい | 投与タイミングに依存(食直前) | 影響なし |
| 主な用途 | 軽症GERD、NSAIDs潰瘍予防、OTC | 除菌、GERD、重度潰瘍 | GERD、除菌補助、PPI無効例など |
| 安価・入手性 | ○(後発品豊富) | ○ | △(高価、新薬) |
ポイント: