den Brok MGHE, J Am Med Dir Assoc (2021)
Title (英語と日本語):
Antihypertensive Medication Classes and the Risk of Dementia: A Systematic Review and Network Meta-Analysis
降圧薬の種類と認知症リスク:系統的レビューおよびネットワーク・メタアナリシス
Journal Name & Publication Year(雑誌名と出版年):
JAMDA (Journal of the American Medical Directors Association), 2021年
First and Last Authors(第一および最後の著者):
Melina G.H.E. den Brok, Edo Richard
First Affiliations(第一所属機関):
Department of Neurology, Radboud University Medical Center, Netherlands
Abstract(アブストラクト):
この研究は、異なる降圧薬クラス(AHM)と認知症発症リスクとの関連性を評価するために、系統的レビューとネットワーク・メタアナリシスを行ったものである。15件の観察研究と7件のRCT(合計649,790人、認知症19,600件)を対象に、カルシウム拮抗薬(CCB)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用が、他の降圧薬クラスに比べて認知症リスクの低下と関連することが明らかになった。
Background(背景):
認知症の有病率は今後大きく増加する見込みであり、特に中年期高血圧は主要な修正可能なリスク因子とされている。降圧治療が認知症リスクを下げる可能性があるが、薬剤クラスごとの効果の違いは一貫していなかった。
Methods(方法):
MEDLINE、Embase、Cochraneなどで文献検索を行い、認知症発症と降圧薬クラスの関連を報告するRCTおよび前向きコホート研究を対象にした。ネットワーク・メタアナリシスにより、ACE阻害薬、ARB、CCB、β遮断薬、利尿薬の5種類のクラス間の効果を比較。
Results(結果):
観察研究において、CCBはACE阻害薬と比較して16%、β遮断薬と比較して17%、利尿薬と比較して11%認知症リスクが低下。ARBはACE阻害薬と比較して12%、β遮断薬と比較して13%、利尿薬と比較して7%のリスク低下を示した。RCTの数は少なく、観察研究による結果が中心となった。
Discussion(考察):
CCBおよびARBは認知症リスクを低減させる可能性があり、この効果は血圧低下以外のメカニズムによる可能性も示唆される。特にARBは炎症抑制、アミロイドβ減少、神経保護作用などの機序があるとされる。
Novelty compared to previous studies(先行研究との新規性):
降圧薬クラス間を直接比較し、認知症発症という臨床的に最も関連性の高いアウトカムに対してネットワーク・メタアナリシスを適用した初の研究である。
Limitations(限界):
RCTの数が少なく、主要な結果は観察研究に基づいている。また、診断法の違いや治療レジメンの変遷、交絡因子の影響も完全には除去できていない。
Potential Applications(応用可能性):
CCBやARBを第一選択とする降圧治療が、認知症の一次予防に有効な低コストかつ広範囲に応用可能な介入策となる可能性がある。高齢者高血圧管理のガイドラインに影響を与えることが期待される。