Janno S, Am J Psychiatry (2004)
Title (英語と日本語):
Prevalence of Neuroleptic-Induced Movement Disorders in Chronic Schizophrenia Inpatients
慢性統合失調症入院患者における抗精神病薬誘発性運動障害の有病率
Journal Name & Publication Year(雑誌名と出版年):
American Journal of Psychiatry, 2004年
First and Last Authors(第一および最後の著者):
Sven Janno, Kristian Wahlbeck
First Affiliations(第一所属機関):
Voisiku Nursing Home, Poltsamaa County, Estonia
Abstract(アブストラクト):
世界の多くの統合失調症患者が従来型抗精神病薬を使用している現状を踏まえ、本研究では、慢性統合失調症入院患者における抗精神病薬誘発性運動障害(アカシジア、パーキンソニズム、遅発性ジスキネジア)の有病率をDSM-IV基準および評価スケールで評価した。99人中61.6%がいずれかの運動障害を有しており、個別にはアカシジア31.3%、パーキンソニズム23.2%、遅発性ジスキネジア32.3%であった。
Background(背景):
抗精神病薬による錐体外路副作用(運動障害)は、特に従来型薬剤使用下では世界的に頻繁に見られ、その頻度は報告により29〜74%と幅がある。従来の研究は評価尺度に依存しており、DSM-IV基準を用いた評価はされてこなかった。
Methods(方法):
エストニアの州立看護施設に入所する99名の18〜65歳の慢性統合失調症患者を対象に、DSM-IV診断基準に基づいて運動障害の有無を評価。併せて、Barnesスケール(アカシジア)、Simpson-Angusスケール(パーキンソニズム)、AIMS(遅発性ジスキネジア)による評価も実施。
Results(結果):
全体の61.6%が何らかの運動障害を有していた。個別には、アカシジア31.3%、パーキンソニズム23.2%、遅発性ジスキネジア32.3%。クロザピン使用者では運動障害の頻度が有意に低く(35.0% vs 68.4%)、年齢も障害の発生と有意に関連していた。Simpson-AngusスケールとDSM-IVの一致率は50.5%と低く、基準の再検討が必要とされる。
Discussion(考察):
抗精神病薬誘発性運動障害は、従来型薬剤使用患者において高頻度に認められ、治療法が限られる途上国では大きな負担である。特にDSM-IVと評価尺度の一致率に差がある点は、診断基準の再検討を示唆する。
Novelty compared to previous studies(先行研究との新規性):
DSM-IV診断基準を用いた初の運動障害有病率評価研究であり、アカシジア・パーキンソニズム・遅発性ジスキネジアの三者を同時に評価した希少な報告である。
Limitations(限界):
評価が回顧的情報に基づくこと、統合失調症患者に見られる自然発生的運動異常の可能性を除外できない点がある。
Potential Applications(応用可能性):
途上国における抗精神病薬の選択や用量調整、運動障害の早期発見と対応のための診断基準の見直しに活用可能。