減塩食には、効果はあるのか?

減塩を頑張っても、あまり意味がないという記事をみたが、減塩食には、効果はあるのか?

はい、効果はあります。特に「血圧低下」と「心血管疾患リスク低減」において、効果があることが、科学的根拠に基づいて示されています。
 

① 血圧を下げる(最も確立した効果)

  • 食塩摂取量を減らすと、収縮期・拡張期血圧が低下します
  • 効果は
    • 高血圧の人で大きい
    • 高齢者、CKD、糖尿病のある人で顕著
📊 目安
  • 食塩を 1日約5~6g減らす
    • → 収縮期血圧が 約5~7mmHg低下(高血圧者)
一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子
一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子

減塩食と降圧薬の組み合わせで、相乗効果が期待できる

1日1gの減塩で平均1mmHgの血圧低下は「それしかない」と捉えられてしまうこともありますが、決して「それだけ」ではなく、薬物治療と併用することで相乗効果も期待できます。
減塩することで、降圧薬が減らせる可能性もあります
Aliasgharzadeh S, PLoS One (2022) 高血圧治療中でも、減塩することで血圧を低下させる効果があった。中には、減塩することで「降圧薬の使用量が減った」「血圧管理が改善された」例も報告されている

Title(英語/日本語)

Effect of salt reduction interventions in lowering blood pressure: A comprehensive systematic review and meta-analysis of controlled clinical trials
減塩介入が血圧低下に及ぼす影響:対照臨床試験の包括的システマティックレビューおよびメタ解析

Journal Name & Publication Year

PLOS ONE,2022年

First and Last Authors

Soghra Aliasgharzadeh / Mehrangiz Ebrahimi-Mameghani

First Affiliations

School of Nutrition and Food Sciences, Tabriz University of Medical Sciences, Tabriz, Iran

Abstract(要約)

本研究は、減塩介入が収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)に与える影響を評価するため、システマティックレビューとメタ解析を実施した。2000年から2022年4月までに発表された対照臨床試験を対象とし、50試験(40論文)を系統的レビュー、44試験をメタ解析に含めた。その結果、減塩代替塩の使用および栄養教育はSBP・DBPの有意な低下と関連していた。

Background

過剰な食塩摂取は高血圧の主要因であり、心血管疾患の重要な危険因子である。WHOは成人の食塩摂取量を5 g/日未満と推奨しているが、実際の平均摂取量は約10 g/日に達している。減塩は費用対効果の高い公衆衛生戦略とされるが、介入方法ごとの血圧低下効果を包括的に比較した研究は不足していた。

Methods

PubMed、Embase、Scopus、Web of Scienceを用いて文献検索を実施。年齢・性別・高血圧の有無を問わず、減塩介入が血圧に与える影響を評価した対照試験を対象とした。ランダム効果モデルを用いて加重平均差(WMD)を算出した。

Results

  • 系統的レビュー:50試験(栄養教育21、セルフヘルプ教材10、減塩代替塩17、食品リフォーミュレーション2)
  • メタ解析(44試験)
    • 減塩代替塩
      • SBP:WMD −7.44 mmHg(P<0.001)
      • DBP:WMD −3.77 mmHg(P<0.001)
    • 栄養教育
      • SBP:WMD −2.75 mmHg(P<0.001)
      • DBP:WMD −2.11 mmHg(P<0.001)
    • セルフヘルプ教材
      • 25–60歳でSBPが有意に低下(WMD −2.60 mmHg, P=0.008)
      • 高血圧患者ではSBP −3.87 mmHg、DBP −2.91 mmHgと有意低下

Discussion

減塩代替塩と栄養教育は、個人レベルおよび集団レベルの双方で血圧低下に有効であることが示された。単一介入よりも、複数要素を組み合わせた介入がより効果的である可能性が示唆された。

Novelty compared to previous studies

年齢、基礎疾患(高血圧の有無)、介入期間、地域差を考慮し、複数の減塩戦略を直接比較した包括的メタ解析である点が新規性である。

Limitations

研究間の異質性が高い点、介入内容や期間のばらつき、血圧測定方法の不統一が限界として挙げられる。

Potential Applications

減塩代替塩の普及、栄養教育プログラムの実装、デジタルツールを含む多面的減塩政策は、高血圧予防・管理および心血管疾患リスク低減に有用である。
Aliasgharzadeh S, Tabrizi JS, Nikniaz L, Ebrahimi-Mameghani M, Lotfi Yagin N. Effect of salt reduction interventions in lowering blood pressure: A comprehensive systematic review and meta-analysis of controlled clinical trials. PLoS One. 2022 Dec 7;17(12):e0277929. doi: 10.1371/journal.pone.0277929. PMID: 36477548; PMCID: PMC9728935.
Gupta DK, JAMA (2023) 1週間という短期間でも、減塩することで血圧を低下させた。これは、正常血圧者・高血圧者・降圧薬使用者に関わらず広く認められた。降圧薬の効果と同等レベルに匹敵する可能性がある。

タイトル(英語/日本語)

Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial
食事性ナトリウム摂取が血圧に与える影響:クロスオーバー試験

掲載誌 & 発表年

JAMA(The Journal of the American Medical Association), 2023年 ジャマネットワーク

主要著者

Deepak K. Gupta ほか ジャマネットワーク

所属(最初の所属)

Vanderbilt University Medical Center(米国) ジャマネットワーク

背景

食事中のナトリウム(塩分)摂取は血圧を左右する重要な因子だが、年齢や高血圧治療の有無に関わらず、どの程度血圧に影響するかについては不確実な点がある。本研究は、高ナトリウム食と低ナトリウム食を1週間ずつ実施した際の血圧変化を比較することで、ナトリウム摂取量の違いが血圧に与える影響を調べた。 ジャマネットワーク

研究デザイン(方法)

  • デザイン:前向き割付・クロスオーバー試験
  • 対象:米国2都市から募集された 213名(50〜75歳)
    • ・正常血圧、治療中高血圧、コントロールされた高血圧、未治療高血圧者を含む ジャマネットワーク
  • 介入
    • 高ナトリウム食:通常食に加えて約 2200 mg のナトリウム追加
      低ナトリウム食:合計約 500 mg のナトリウム の食事 ジャマネットワーク

主要評価項目

  • 24時間の 収縮期血圧(SBP)
  • 24時間の 拡張期血圧(DBP)

結果

  • 低ナトリウム食 vs 高ナトリウム食
  • 同じ個人が高→低ナトリウムで食事を変えた場合、 約73%の被験者で平均動脈圧が低下した。 ジャマネットワーク
  • ナトリウム摂取の変化に応じた血圧低下は、性別・年齢・人種・高血圧ステータスにかかわらず一貫して認められたジャマネットワーク

副作用

高ナトリウム食・低ナトリウム食いずれでも軽微な副作用あり(頭痛、消化不良、筋痙攣など)が、重篤な有害事象は少なかったジャマネットワーク

結論

食事中ナトリウム摂取量の減少は、短期間でも血圧を有意に低下させる。この効果は、正常血圧者・高血圧者・降圧薬使用者に関わらず広く認められ、降圧薬の効果と同等レベルに匹敵する可能性がある。 ジャマネットワーク

臨床的意義

  • 中高年の成人において、ナトリウム制限は効果的な血圧管理戦略となる
  • 食事療法は、高血圧治療の補助または代替手段として有用
Gupta DK, Lewis CE, Varady KA, Su YR, Madhur MS, Lackland DT, Reis JP, Wang TJ, Lloyd-Jones DM, Allen NB. Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial. JAMA. 2023 Dec 19;330(23):2258-2266. doi: 10.1001/jama.2023.23651. PMID: 37950918; PMCID: PMC10640704.

② 脳卒中・心疾患リスクを下げる

血圧低下を介して
  • 脳卒中
  • 心筋梗塞
  • 心不全
    • の発症リスクが減少

③ 腎臓への負担を減らす

  • 食塩過剰 → 糸球体内圧上昇 → 蛋白尿悪化
  • 減塩により
    • 蛋白尿減少
    • CKD進行抑制
      • が期待されます