半夏厚朴湯
臨床試験・エビデンス
- 脳血管障害やパーキンソン病などによる嚥下障害患者に対して、半夏厚朴湯を4週間投与したところ、唾液中サブスタンスPが増加し、嚥下反射が有意に改善したとの報告があります。
- ランダム化比較試験(RCT)では、半夏厚朴湯が嚥下反射・咳反射を有意に改善し、誤嚥性肺炎のリスクを軽減することが示されています。
- 目的
- デザイン
- 対象
- 介入
- BHT群:47例に半夏厚朴湯を投与
- 対照群:48例にプラセボ投与
- 評価項目
- 肺炎発症率
- 肺炎による死亡率
- 日常的な自発的摂食量
- 主な結果
- 肺炎発症率
- BHT群:4/44例(9.1 %)
- 対照群:14/48例(29.2 %)
- 統計学的に有意差あり(P = .008)。
- 肺炎関連死亡数
- BHT群:1例
- 対照群:6例
- 発症数差同様に、死亡数でもBHT群が有意に少なかった(詳細なP値は本文参照)。
- 自発的摂食量
- BHT群では、摂食量維持・改善傾向が認められた(具体的な数値は本文参照)。
- 安全性
- 結論
Iwasaki K, J Am Geriatr Soc. 2007 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17944889/
認知症を伴う高齢者に対し、漢方処方「半夏厚朴湯(Banxia Houpu Tang, BHT)」投与が誤嚥性肺炎の発症および肺炎関連死亡を抑制するかを検討するためのパイロット試験として実施された。
無作為化・観察者盲検化比較試験(prospective, observer-blinded, randomized, controlled trial)。
2施設の長期療養病棟に入院中の認知症と脳血管疾患、またはアルツハイマー病/パーキンソン病を併発する高齢者104例(男性31例・女性73例、平均年齢 83.5 ± 7.8 歳)。
試験開始時に95例(平均年齢 84.0 歳)が無作為に以下のいずれかに割り付けられ、12か月間投与を継続した:
有害事象は軽微で、主に下痢や軽度の食欲不振などが報告されたが、中止に至る重篤な副作用は少なかった。
半夏厚朴湯の12か月投与により、認知症を伴う高齢者における誤嚥性肺炎発症率および肺炎関連死亡が対照群と比べて有意に低下した。自発的な摂食量の維持・改善も示唆され、半夏厚朴湯は高齢者における肺炎予防に有望な介入である可能性がある。
- 高齢者の誤嚥性肺炎既往患者に対して、プラセボと半夏厚朴湯を比較した二重盲検試験で、半夏厚朴湯群で嚥下反射の改善および肺炎発症抑制効果が確認されています。
- さらに、半夏厚朴湯は高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(2015年版)にも記載されており、嚥下障害や誤嚥性肺炎の予防薬として紹介されています。