Pacholko A, Hypertension. 2024
- 背景と目的
- 高血圧は血管性認知機能低下のリスク因子として古くから知られているが、アルツハイマー病などの神経変性病理への関与も示唆されている。
- 本レビューでは、高血圧による血管障害がどのように脳ダメージや認知機能障害をもたらすのか、そのメカニズム解明の現状と、降圧薬による予防効果に関する未回答の重要課題を整理する。
- 高血圧がもたらす血管・脳構造の変化
- 慢性的な高血圧は脳血管の構造的/機能的インテグリティを乱し、微小血管障害や血管内皮機能不全を引き起こす。
- これが白質病変や脳萎縮を促し、認知機能低下を進行させる。
- 神経変性病理との関連性
- 最近の研究では、高血圧による血管障害がアミロイドβやタウの蓄積を助長し、アルツハイマー病病理を増悪させる可能性が指摘されている。
- 神経血管ユニット(血管・グリア・ニューロンの相互作用)障害が、神経変性の進行に重要な役割を果たしているとの知見が得られつつある。
- 臨床・基礎研究の進展
- 最新の脳機能イメージング技術やバイオマーカー解析により、高血圧による神経血管機能不全の早期検出が可能に。
- 動物モデルや細胞レベルでの研究が、血管障害→アミロイド代謝異常→神経炎症→認知障害という連鎖を支持。
- 降圧治療の認知予防効果に関する未解決事項
- 多くの疫学研究や一部の臨床試験では降圧が認知機能低下リスクを抑制すると示唆される一方で、どの薬剤クラスが最適か、いつから介入すべきかは明確になっていない。
- 中枢への薬物到達性や、過度降圧による低灌流リスクとベネフィットのバランスも検討課題。
- 今後の研究方向
- 長期フォローの多施設無作為化比較試験(RCT)で、降圧開始時期・目標血圧・薬剤選択の最適化を評価。
- 神経血管ユニットの機能マーカー開発や、新規バイオマーカーによる早期リスク層別化。
- 高齢者や認知障害前段階(軽度認知障害:MCI)への介入効果検証。
結論:
高血圧は血管性だけでなく神経変性メカニズムを通じても認知障害を促進すると考えられ、降圧介入による予防効果の実証と、介入戦略最適化のための研究が急務である。