Gupta A, BMJ Open. 2020

PICO

  • Population(対象)
    • 60 歳以上の高血圧患者 34,994 名を対象としたランダム化プラセボ対照試験。
  • Intervention(介入)
    • 少なくとも 12 か月以上の抗高血圧薬による血圧治療。
  • Comparator(対照)
    • プラセボまたは標準治療群。
  • Outcome(評価項目)
    • 主アウトカムは「認知機能の変化」を定量的に評価した指標(認知検査スコアの変化など)。

主な結果

  1. 認知機能変化(標準化平均差:SMD)
      • ネット SMD = −0.049(95% CI: −0.078~−0.019)
      • 負の値は「抗高血圧治療群で認知機能低下が抑制された」ことを示す。
  1. 異質性(Heterogeneity)
      • I² = 6% と低く、試験間の結果の一貫性が高い。

考察と限界

  • 効果の大きさ:SMD は小さいものの、有意に認知機能低下の進行を抑制しており、臨床的にも意味のある効果と考えられる。
  • 試験デザイン:プラセボ対照かつ十分なフォローアップ期間(≥12 か月)を有する RCT が対象のため、エビデンスの質は比較的高い。
  • 外的妥当性:平均年齢が高く、多様な抗高血圧薬クラスが含まれるものの、各試験の薬剤選択や治療強度には差異があり、個別薬剤の比較までは結論づけられない。
  • 認知評価法の違い:使用された認知テストの種類や評価タイミングが試験ごとに異なるため、個々のテストスコア変化に対する感度には限界がある可能性がある。

結論

60 歳以上の高齢者における抗高血圧薬治療は、認知機能低下の進行をわずかではあるが有意に抑制する可能性があり、認知症リスクを軽減する臨床的メリットが示唆された。薬剤クラス選択や介入開始時期の最適化を探る追加研究が望まれる。