Bhanu C, PLoS Med (2021)

Bhanu C, Nimmons D, Petersen I, Orlu M, Davis D, Hussain H, Magammanage S, Walters K. Drug-induced orthostatic hypotension: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. PLoS Med. 2021 Nov 9;18(11):e1003821. doi: 10.1371/journal.pmed.1003821. PMID: 34752479; PMCID: PMC8577726.

Title(英語・日本語)

Drug-induced orthostatic hypotension: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
薬剤誘発性起立性低血圧:無作為化比較試験の系統的レビューおよびメタアナリシス

Journal Name & Publication Year(掲載誌名・発表年)

PLOS Medicine, 2021年11月9日

First and Last Authors(第一・最終著者)

First Author: Cini Bhanu
Last Author: Kate Walters

First Affiliations(第一所属)

Research Department of Primary Care and Population Health, University College London, United Kingdom

Abstract(要旨)

薬剤誘発性起立性低血圧(OH)は、転倒、脳卒中、認知障害、死亡率増加などと関連しており、特定の薬剤がOHにどの程度関与しているかは明らかではない。本研究は、OHと関連する薬剤を明らかにするため、無作為化比較試験(RCT)を対象に系統的レビューとメタアナリシスを行った。36,940件の文献から69件のRCT(27,079名)を分析。β遮断薬(OR 7.76)および三環系抗うつ薬(TCA、OR 6.30)はOHリスクを著しく増加させた。α遮断薬、抗精神病薬、SGLT-2阻害薬もリスクを上昇させたが、カルシウム拮抗薬(CCB)、ACE阻害薬/ARB、SSRIでは有意な差はなかった。多剤併用ではOHリスクが蓄積する可能性があり、起立時血圧のモニタリングが推奨される。

Background(背景)

OHは、加齢と共に有病率が上昇し、250種類以上の薬剤が原因とされる。薬剤による交感神経抑制や血管拡張が起立時の血圧調節を阻害し、脳血流低下を引き起こす。従来の観察研究では因果関係が不明確であったため、RCTを用いた評価が必要とされた。

Methods(方法)

EMBASE、MEDLINE、Web of Scienceを用いて2020年11月23日までに発表されたRCTを検索。対象は18歳以上で、薬剤とプラセボを比較し、OHが副作用として報告されている試験。69件のRCTを抽出し、Mantel–Haenszel法による固定効果メタアナリシスを実施。GRADEによりエビデンスの確実性も評価。

Results(結果)

  • 高リスク薬剤(OHのオッズ比)
    • β遮断薬:OR 7.76
    • 三環系抗うつ薬(TCA):OR 6.30
    • 抗精神病薬:OR 2.38
    • 中枢作用性降圧薬:OR 2.40
    • α遮断薬:OR 1.87
    • SGLT-2阻害薬:OR 1.24(有意)
  • リスクが有意でない薬剤
    • CCB:OR 0.89
    • ACE阻害薬/ARB:OR 1.22
    • SSRI:OR 1.00

Discussion(考察)

交感神経抑制作用を持つ薬剤はOHリスクを顕著に高め、β遮断薬とTCAが特にリスクが高い。ACE阻害薬やCCB、SSRIの影響は限定的。TCAは低用量でも高齢者には有害な可能性がある。多剤併用による相加的リスクがあるため、臨床では姿勢性血圧のチェックが重要。

Novelty compared to previous studies(先行研究との違い・新規性)

過去のレビューは観察研究が中心であったが、本研究はRCTのみを対象とした初の系統的レビューとメタアナリシスであり、薬剤ごとのリスクを高いエビデンスレベルで比較している。

Limitations(限界)

  • プラセボ対照RCTに限定したため、薬剤同士の直接比較はされていない
  • 高齢者の参加が少ない試験が多く、実臨床よりリスクが過小評価されている可能性
  • 一部薬剤群では研究数が少ない

Potential Applications(応用の可能性)

  • 高齢者や多剤併用患者における安全な処方指針の策定
  • 起立性低血圧を予防するための薬剤選択
  • ポリファーマシー対策としての起立時血圧モニタリング導入