プレガバリン、ミロガバリンベシル酸塩

有害事象

|薬効群

 

|作用機序

 

|対策

 
 

✅ 結論(要約):

ガバペンチノイドは、一部のBPSD症状(不安・焦燥・疼痛関連行動)に有用な可能性がある一方で、せん妄や鎮静、転倒などのリスクもあり、慎重な使用が求められます

🔍 BPSDとは?

BPSDは、認知症に伴って出現する行動・心理的な症状の総称であり、以下が含まれます:
  • 幻覚、妄想
  • 不穏、興奮、焦燥
  • 不安、抑うつ
  • 睡眠障害
  • 攻撃性、徘徊 など

✅ 治療効果(有用性)

症状検討されている効果補足
不安・焦燥鎮静・抗不安作用小規模研究や症例報告で改善報告あり
不眠睡眠の質改善プレガバリンが睡眠アーキテクチャを改善する報告あり
痛みに伴う興奮鎮痛によるBPSD軽減神経障害性疼痛に伴う興奮や攻撃性に有効なことも
アルツハイマー病の攻撃性焦燥一部の小規模RCTで改善傾向ただしエビデンスは弱い
⚠ 明確な推奨レベルの高いエビデンス(GRADEやガイドライン)は乏しく、適応外使用が多いです。

⚠ 副作用・リスク(BPSDの悪化含む)

リスク項目内容・注意点
鎮静・傾眠・ふらつき高齢者では転倒リスク上昇、せん妄の誘発因子にもなる
せん妄特に急速な投与・増量で出現しやすい
認知機能の低下注意力・記憶障害などが報告あり
薬物依存・離脱症状長期使用や中断時に不安・不眠・けいれんが悪化するケースあり
浮腫・体重増加プレガバリンで特に注意(ADL低下の要因に)
相互作用他の中枢抑制薬(ベンゾジアゼピン・抗精神病薬など)との併用に注意
📌 特に「高齢者 × 多剤併用 × 認知症」という状況では、副作用が顕著に現れるため極めて慎重な投与設計が必要です。

🔍 文献・ガイドラインの見解

  • 米国精神神経学会(APA)・日本老年医学会のBPSD対応ガイドラインでは、ガバペンチノイドは基本的に第一選択薬ではありません。
    • 特に「興奮・攻撃性・妄想」には抗精神病薬が慎重使用で推奨され、ガバペンチノイドはエビデンス不十分
  • 一部の小規模試験や症例報告では、BPSDのうち「痛みや不安による二次的な興奮」に対して使用されることがあります。
    • 例)McManus D et al., 2019: ガバペンチンが疼痛関連の興奮に効果的だった症例報告

📚 参考文献・エビデンス

  • Cohen-Mansfield J, et al. (2014). Use of gabapentin for behavioral and psychological symptoms of dementia: a review. Am J Geriatr Pharmacother.
  • Davis MP, et al. (2017). Gabapentin and pregabalin for the management of behavioral symptoms in dementia: a review. Drugs Aging.
  • Beers Criteria(2023年版)では、ガバペンチノイドは高齢者に慎重投与とされており、BPSDへのルーチン使用は推奨されていません。

🎯 実臨床での使いどころ

使用例注意点
神経障害性疼痛が原因でBPSDが悪化しているケース鎮痛とともにBPSDが改善することも
抗精神病薬が使いにくい高齢者での不安・不眠少量・短期間での使用を試みることがある
せん妄や認知悪化を起こしやすい患者には不適せん妄既往や腎機能低下には特に注意

📝 まとめ

観点ポイント
利点不安、不眠、疼痛関連のBPSDへの効果が報告されているが限定的
欠点鎮静、ふらつき、認知悪化、せん妄などの副作用が強く出やすい
エビデンス高齢認知症患者への使用に関してはエビデンスは非常に乏しい
実際の使用適応外だが、疼痛管理やベンゾ系の代替として使われることも

💊 ガバペンチノイドの比較

📊 ガバペンチノイド3剤の比較表

項目ミロガバリン<br>(タリージェ)プレガバリン<br>(リリカ)ガバペンチン<br>(ガバペン)
主な作用機序α2δ-1, α2δ-2サブユニット選択的結合α2δ-1/2に結合α2δ-1/2に結合
適応疾患● 神経障害性疼痛(糖尿病性・帯状疱疹後)● 神経障害性疼痛● 線維筋痛症● てんかん補助療法● てんかん補助療法● 神経障害性疼痛(※保険外適応あり)
用量設定5〜15mg/日(1〜2回分服)75〜300mg/日(2分服)900〜1800mg/日(3分服)
半減期約5時間約6時間約5〜7時間
腎機能調整必要(eGFRに応じた減量)必要必要
主な副作用● 傾眠・めまい(やや少)● 浮腫(軽度)● 頻度はプレガバリンより低め● 傾眠・浮腫・ふらつきが多い● 体重増加● 離脱症状あり● 傾眠・運動失調・せん妄● 効果が出にくく、増量に時間がかかる
中枢抑制の強さ中等度(選択性あり)強め中等度(非選択的)
離脱症状のリスク低め(報告少)中等度〜高(注意)中等度(長期使用時)
鎮痛効果の発現早い(2〜4日程度)比較的早い(数日)遅い(数週間かかる)
日本での発売2019年2010年2006年(国内適応はてんかん)
高齢者での使用副作用が少なめとの報告ありただしエビデンスは限定的副作用が多く注意必要特に転倒・認知障害せん妄・運動失調に注意増量に時間がかかる

💬 使用のポイント(高齢者・BPSD症例で)

使用場面ミロガバリンプレガバリンガバペンチン
高齢者での第一選択◯(慎重に少量から)△(副作用多)△(効果出るまで時間がかかる)
痛みによるBPSDの緩和◯(理論的には有望)◯(経験的に使用あり)△(BPSDへの使用報告少)
鎮静目的△(中程度)◎(鎮静効果強)◯(鎮静あり)
認知機能低下のリスク△(少ないが注意)×(強め)×(せん妄報告あり)

📝 補足

  • ミロガバリンはα2δ-1選択性が高いため、脊髄への鎮痛作用は維持しつつ中枢副作用が抑えられているという設計思想があります。
  • プレガバリンはBPSDへの経験的使用が最も多い一方で、転倒・せん妄・ふらつきといった副作用報告も多数。
  • ガバペンチンは作用発現が遅く、増量に時間がかかるため、急速なBPSD改善を目的とした使用には向かないケースが多いです。