麻薬性鎮痛薬

有害事象

|薬効群

 

|作用機序

麻薬性鎮痛薬(オピオイド)による悪心・嘔吐は、抗がん薬と同じく複数経路が関与しており、特に投与初期や用量増量時に多くみられます。

① 中枢性(化学受容器引金帯:CTZ)刺激

  • 延髄の化学受容器引金帯(CTZ)は血液脳関門の外に位置し、血中の薬剤が直接作用しやすい部位。
  • オピオイドはドパミンD₂受容体セロトニン5-HT₃受容体オピオイド受容体(μ、δ)を刺激し、嘔吐中枢を間接的に活性化
  • 特に投与初期〜2,3日はCTZ感受性が高く、悪心・嘔吐が出やすい。

② 前庭器官(内耳)刺激

  • オピオイドは前庭神経核にも作用し、ヒスタミンH₁受容体ムスカリンM₁受容体を介して動揺病様の悪心を誘発。
  • 体位変換・歩行・車移動で症状増悪することがある。
  • モルヒネなど一部オピオイドで特に顕著。

③ 胃排出遅延・消化管蠕動低下

  • オピオイドは腸管のμ受容体を刺激し、アセチルコリン遊離を抑制 → 蠕動低下・胃排出遅延。
  • 胃内容物停滞による胃拡張が迷走神経反射を介して悪心を誘発。
  • 慢性的には便秘の主要因にもなる。

④ 血圧低下・迷走神経反射

  • オピオイドによる末梢血管拡張・ヒスタミン遊離により軽度低血圧が起こると、脳灌流低下と迷走神経刺激で悪心を助長。

発症しやすい状況

  • 開始初期(特に3日以内)
  • 急速静注・高用量投与
  • 高齢者・女性(感受性が高い傾向)
  • 動作・姿勢変化時(前庭系刺激が関与)

|対策

臨床対応のポイント

  • 予防的制吐薬は、モルヒネ導入時や高用量開始時に考慮。
  • 前庭系症状が主体なら抗ヒスタミン薬が有効。
    • 動作・姿勢変化時に嘔吐が起こることが鑑別のヒント
  • CTZ主体ならドパミン拮抗薬や5-HT₃拮抗薬を選択。
  • 数日で耐性がつくことが多いが、持続する場合は薬剤変更(例:モルヒネ→フェンタニル)が有効な場合あり。