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ドパミン作動薬(ドパミンアゴニスト)

ドパミン作動薬

1. 定義と作用機序

黒質‐線条体系のドパミン不足を補うため、主にドパミンD₂受容体に直接結合・刺激してドパミン作用を模倣する薬剤群です。
レボドパ(L-ドパ)に先行して単独投与されることが多く、特に若年発症例や運動合併症回避を目的とする初期治療で重用されます。
 

2. 作用機序

  • 直接刺激型
    • ドパミンD₂(およびD₃)受容体にアゴニスト作用を示し、中枢黒質‐線条体経路のシナプス後受容体を活性化します。
  • 非麦角アルカロイド系(ノンエルゴ系) vs. 麦角アルカロイド系(エルゴ系)
    • ノンエルゴ系:より選択的にD₂/D₃受容体を刺激し、線維化リスクがほぼない。
    • エルゴ系:ドパミン受容体以外にも多彩な受容体に作用しやすく、心臓弁膜や肺の線維化リスクがある。

3. 主な薬理作用

薬理作用特徴・臨床的意義
D₂受容体アゴニスト振戦・固縮・無動の改善。パーキンソン病の運動症状抑制に基本。
D₃受容体アゴニスト精神運動・動機づけ系に影響。非運動症状(うつ、疼痛)改善の可能性。
D₁受容体刺激(限定的)末梢血管拡張を介し起立性低血圧を助長する可能性あり。

4. 主な薬剤例

5. 対象疾患

  • パーキンソン病:運動症状(振戦・固縮・無動・姿勢保持障害)の改善
  • レストレスレッグス症候群:むずむず脚症候群の軽減(特にプラミペキソール、ロピニロール)

6. 注意点・副作用

副作用・注意点概要対策
悪心・嘔吐消化管D₂受容体刺激による食後投与、少量開始→漸増。制吐薬併用も検討。
起立性低血圧中枢外D₁受容体刺激・末梢血管拡張立ち上がりはゆっくり、十分な水分・塩分摂取。
幻覚・妄想中枢ドパミン過剰刺激用量減少、認知機能・精神状態モニタリング。
衝動制御障害D₃受容体刺激による報酬系過活動(ギャンブル、買い物衝動)家族での行動監視、定期的に問診。必要時は減量または中止。
睡眠発作突然の眠気発作運転・危険作業前の薬剤服用時間を避ける。
線維化(エルゴ系特有)心臓弁膜・肺・胸膜の線維化リスク定期的な心エコー・胸部X線検査。ノンエルゴ系への切替検討。
 

7. 類薬との使い分け

  • レボドパとの比較
    • レボドパは最も強力な運動症状改善を示すが、長期投与でジスキネジアやウェアリングオフが出現しやすい。若年発症例ではまずドパミン作動薬から開始し、遅発性ジスキネジアを遅らせる戦略をとる。
    • 高齢者の場合は、レボドパから開始する。
 
  • MAO-B阻害薬/COMT阻害薬との併用
    • 作用持続延長や低用量レボドパ補強を目的に使用。単独で不十分な場合の追加療法。
 
  • 非ドパミン作動系薬剤との組合せ
    • 振戦優位例には抗コリン薬、ジスキネジア対策やグルタミン酸過刺激抑制にアマンタジンなど、症状プロファイルに応じて選択。
 
ポイント:
患者の年齢、症状、合併症、生活背景に応じて適切なドパミン作動薬を選択し、副作用の早期発見・対策を行いながら治療を進めることが重要です