ワクチン/肺炎球菌

肺炎球菌ワクチン

1. 定義

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)による感染症(肺炎、菌血症、髄膜炎、中耳炎など)を予防するワクチンです。
高齢者基礎疾患のある人、小児での重症化を防ぐために重要な予防手段です。
 

2. 作用機序

ワクチンに含まれる肺炎球菌の莢膜多糖体抗原に対して免疫応答を誘導し、特異的な抗体を産生させます。これにより、将来の感染時に迅速な免疫応答が可能となり、重症化を防ぎます。
 

3. 薬理作用ごとの特徴

種類製品名血清型数主な特徴接種対象
多糖体ワクチンニューモバックスNP®(PPSV23)23価T細胞非依存。免疫記憶なし。5年空けて再接種。高齢者(定期)成人
結合型ワクチンプレベナー13®(PCV13)13価小児定期接種。免疫記憶あり。乳幼児(定期)、成人(任意)
結合型ワクチンプレベナー20®水性懸濁注20価ファイザー社製。PCV13に7型追加。1回接種。18歳以上の成人(任意)
結合型ワクチンキャップバックス®(Capvaxive、PCV20)21価MSD社製。異なる21型構成。成人用。18歳以上の成人(任意)

4. 主な薬剤例

項目プレベナー13PPSV23プレベナー20キャップバックス
製造会社ファイザーMSDファイザーMSD
血清型数13型23型20型(13+7型)20型(PPSV23由来の20型)
免疫誘導T細胞依存T細胞非依存T細胞依存T細胞依存
免疫記憶ありなしありあり
接種対象小児・成人(任意)成人(65歳定期)成人(18歳以上、任意)成人(18歳以上、任意)
定期接種小児高齢者××
接種回数1回(通常)1回(5年空け再接種)1回で完結1回で完結
特徴既存の定期接種枠で広く使用血清型カバーが広い新型で、PCV13+7型構成高リスク型を含む独自構成

5. 対象疾患

  • 肺炎球菌性肺炎
  • 菌血症
  • 髄膜炎
  • 中耳炎(小児)など
特に高齢者、慢性疾患患者、免疫低下状態の成人や乳幼児では重症化リスクが高く、予防が重要です。
 

6. 注意点・副作用

一般的な副作用:

  • 注射部位の腫れ、発赤、痛み
  • 全身倦怠感、頭痛、発熱
  • ごく稀にアナフィラキシー
 

使用上の注意と対策:

注意点対策
PPSV23は免疫記憶がつかない5年以上空けて再接種(最大2回程度)
同一成分のPCV13→PCV20は冗長になる可能性既接種歴を医師に伝え、重複接種を回避
キャップバックスとプレベナー20は同じPCV20だが構成が異なる置き換えではなく医師の判断で選択
副反応の出現時解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)を使用。強い症状時は受診
 

7. 類薬との使い分け

対象者推奨される接種例
肺炎球菌ワクチン未接種の成人PCV20(プレベナー20またはキャップバックス)1回で完結が選択肢
PPSV23を過去に接種済み1年以上空けてPCV13またはPCV20追加接種可(医師と相談)
高齢者(定期接種枠)PPSV23が公費対象。必要に応じてPCV併用(順番に注意)
免疫抑制状態PCV20の優先検討(13型+追加型の広い防御と免疫記憶)
小児PCV13を定期接種。成人用PCV20は非対象
 
ポイント:
 
 

肺炎球菌の主な血清型とその特徴

血清型特徴ワクチン収載(2025年)
1型若年成人に肺炎を起こしやすい。集団発生も。PCV13, PCV20, PPSV23
3型莢膜が厚く、免疫回避性が高い。重症化しやすい肺炎・菌血症を起こす。PCV13, PCV20, PPSV23
6B/6A/6C小児の中耳炎や肺炎で多い。地域差あり。6B: PCV13, PPSV23、6A: PCV13, PCV20
14型侵襲性髄膜炎の原因として重要。PCV13, PCV20, PPSV23
19A/19F多剤耐性菌として有名。6歳未満に多い。19A: PCV13, PCV20、19F: PCV13, PCV20, PPSV23
23F小児・高齢者で肺炎の原因に。ワクチン導入後も一部残存。全ワクチンに含まれる