薬物性潰瘍
|薬効群
|作用機序
|対策
|予防
①リスク因子を考慮して予防策を講じる
潰瘍発症のリスク因子
- 年齢 ≧ 65歳以上
高齢者では粘膜保護機構の低下や併用薬(抗凝固薬、ステロイドなど)が多く、NSAIDs潰瘍の発症リスクが上昇する。
- 既往歴として潰瘍または消化管出血歴がある場合
過去に消化性潰瘍や消化管出血を起こした患者では再発リスクが高い(作用機序は上記の通り)。
- NSAIDsの長期連用
特に1年以上の長期投与ではリスクが累積する。
- 高用量のNSAIDs使用
たとえばイブプロフェン1,800 mg/日以上、ナプロキセン1,000 mg/日以上などはリスク増大。
- 併用薬:抗血小板薬(アスピリン含む)、抗凝固薬、抗血栓薬(ワルファリン、DOACなど)
NSAIDs単独よりも出血リスクが格段に高まる。
- 併用薬:ステロイドやSSRI、SNRIなど
胃粘膜保護機構を間接的に低下させる可能性がある。
- Helicobacter pylori(H. pylori)感染
感染により潰瘍リスクが上がるため、NSAIDs使用中の患者では確認が望ましい。
- 喫煙・飲酒
胃粘膜への慢性的ダメージが蓄積しやすい。
BQ 5-7 NSAID 潰瘍のリスク因子は何か? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
出血性潰瘍既往歴、消化性潰瘍既往歴、高用量NSAIDsやNSAIDsの併用者、抗凝固薬・抗血小板薬や糖質ステロイド、ビスホスホネートの併用者、高齢者、重篤な合併症を有する者が主なリスク因子である。
②潰瘍リスクが低い薬剤を選択する
BQ 5-8 NSAIDs の種類により潰瘍(出血)発生率に差があるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
NSAIDs潰瘍(出血)の発生率は薬物の種類により差がある。
BQ 5-9 NSAIDs の投与量により潰瘍(出血)発生率に差があるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
NSAIDs潰瘍(出血)の発生率は NSAIDs の投与量に依存する
BQ 5-10 NSAIDs の投経口投与と坐薬で潰瘍(出血)発生率に差があるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
NSAIDs 経口投与と坐薬では潰瘍発生率に差がない
BQ 5-11 NSAIDs の単剤投与と多剤投与で潰瘍(出血)発生率に差があるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
NSAIDs 潰瘍(出血)の発生は多剤投与により増加する
③リスク因子に応じて、予防的投薬
CQ 5-4 潰瘍既往歴、出血性潰瘍既往歴がある患者がNSAIDsを服用する場合、再発予防はどうするか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
潰瘍既往歴のある患者のNSAIDs潰瘍の予防には、PPIを推奨し、ボノプラザンを提案する。
[推奨の強さ:弱(合意率 100%)、エビデンスレベル:B]
出血性潰瘍既往歴のある患者のNSAIDs出血性潰瘍の再発予防には、COX-2選択的阻害薬にPPI併用を推奨する。
[推奨の強さ:強(合意率 100%)、エビデンスレベル:B]
CQ 5-5 高用量NSAIDs、抗血栓薬、糖質ステロイド、ビスホスホネートの併用者、高齢者および重篤な合併症を有する患者において、NSAIDs潰瘍予防はどのように行うべきか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
糖質ステロイド、抗血栓薬併用例では、NSAIDs潰瘍予防にCOX-2選択的阻害薬の使用を推奨する。
[推奨の強さ:強(合意率 100%)、エビデンスレベル:B]
高齢者および重篤な合併症を有する患者では、NSAIDs潰瘍予防にPPIを推奨する。
[推奨の強さ:強(合意率 100%)、エビデンスレベル:A] (NSAIDs服用例での潰瘍一次予防にPPIは保険適用外)
④H.ピロリ除菌
BQ 5-12 H.pylori 除菌治療で NSAIDs 潰瘍の治癒率は高まるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
潰瘍治癒前は、NSAIDs 服用に伴い発症した潰瘍に対する H.pylori 除菌は治癒率を高めない
BQ 5-12 H.pylori 除菌治療で NSAIDs 潰瘍の治癒率は高まるか? (消化性潰瘍診療ガイドライン2023)
NSAIDs投与開始予定例(NSAID-naïve)では、潰瘍発生予防目的の H. pylori 除菌は行うよう推奨する。
[推奨の強さ:強(合意率 100%)、エビデンスレベル:A]