ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体

薬効群

1. 定義

RANKL(Receptor Activator of Nuclear Factor κB Ligand)を標的として中和する完全ヒト型モノクローナル抗体。破骨細胞の分化・活性化を阻害し、骨吸収を抑制する。

2. 作用機序

RANKLとその受容体RANKの結合を阻止することで、破骨細胞前駆細胞の分化や成熟を抑え、骨吸収を強力に抑制。結果として骨密度が上昇し、骨折リスクが低減する。

3. 薬理作用ごとの特徴

  • 骨吸収抑制作用
    • 骨粗鬆症:骨密度を上昇させ骨折リスクを低減させる
    • がん・骨転移
      • がん・骨転移
        がんや骨転移ではRANKLの発現が亢進し、破骨細胞の異常活性化 → 骨吸収の亢進 → 骨脆弱性・疼痛・高カルシウム血症などの症状が起こります
        ランマークはこの流れを上流でブロックし、破骨細胞による骨破壊を防ぐことで、以下のようなSRE(Skeletal-Related Events:骨関連事象)を減少させます
        • 痛みの軽減
        • 骨折の予防
        • 脊髄圧迫の予防
        • 高カルシウム血症の予防
 

4. 主な薬剤例

ランマークとプラリアの違い
項目ランマーク(ランマーク皮下注120mg)プラリア(プラリア皮下注60mg)
一般名デノスマブ(Denosumab)120mgデノスマブ(Denosumab)60mg
作用機序RANKL(破骨細胞分化因子)を阻害し、骨吸収抑制同上
主な適応症●がんによる骨病変(骨転移など)●巨大細胞腫●多発性骨髄腫に伴う骨病変●骨粗鬆症(閉経後・男性・ステロイド性)●骨折リスクの高い骨粗鬆症患者
用量120mgを4週に1回皮下注60mgを6か月に1回皮下注
併用推奨カルシウム・ビタミンD同左
主な副作用低カルシウム血症、顎骨壊死、過敏症反応など同上(ただし高頻度ではない)
注意点骨代謝回転が非常に抑制されるため、骨修復遅延や骨折の治癒遅延にも注意が必要投与中止後に椎体骨折のリバウンドが起こることがある
保険適用がん関連疾患骨粗鬆症関連疾患

5. 対象疾患

  • 骨粗鬆症:閉経後骨粗鬆症・男性骨粗鬆症・ステロイド性骨粗鬆症。骨折リスク高い患者で第一選択またはビスホスホネート不耐症例。
  • がん性骨転移:乳がんや前立腺がん、多発性骨髄腫患者の骨関連イベント予防。
  • 骨巨細胞腫:腫瘍による骨破壊抑制。
  • 骨代謝異常症:高カルシウム血症(乳がん骨転移など)で一時的に使用。
 

6. 注意点・副作用

  • 低カルシウム血症:投与前に血清Ca・ビタミンDを確認し、必要に応じて補充。
  • 顎骨壊死(ONJ):長期投与や抜歯など侵襲的歯科処置前後はリスク増大。歯科受診・口腔ケアが必須。
  • 大腿骨近位部の非定型骨折:長期使用例で報告あり。下肢痛の有無を確認し、疑わしければ画像検査を実施。
  • 感染症リスク増加:皮膚感染や上気道感染の報告あり。感染症徴候がある場合は投与を見合わせる。
  • 投与中断後の反跳骨吸収:中止するとPTH増加・骨吸収亢進が起こるため、他剤(ビスホスホネートなど)へのスイッチを検討。
 

7. 類薬との使い分け

  • ビスホスホネート製剤:消化管障害や腎機能低下例ではデノスマブ優先。
  • 活性型ビタミンD₃製剤:骨代謝補助として併用し、低カルシウム血症を防止。
  • テリパラチドなど骨形成促進薬:高度骨粗鬆症で骨形成が最優先の場合に併用または切り替え検討。
 
ポイント: