副甲状腺ホルモン(PTH(1-34)製剤)

副甲状腺ホルモン(PTH(1-34)製剤)

1. 定義

副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone)の1-34番目のアミノ酸配列を持つ製剤で、ヒト副甲状腺ホルモンの活性中心部分に相当します。骨形成促進作用を持ち、骨粗鬆症治療薬として使用される
 

2. 作用機序

PTH(1-34)の作用:副甲状腺ホルモン受容体(PTH1受容体)に作用し、以下のような作用を引き起こす
  • 骨芽細胞の活性化
  • 骨形成の促進
  • 骨吸収も誘導する
PTH(1-34)製剤の作用:
  • 間欠的投与(1日1回皮下注等)により骨形成が優位になる
    • 間欠(1日1回皮下注)投与により骨芽細胞を直接活性化し、骨形成マーカー(P1NP, ALP など)を上昇させる。
    • 骨の“リモデリング窓”を開き、新生骨形成を増大させる一方、破骨細胞活性は相対的に低めに抑えられる。
骨密度を増加させ、骨折リスクを低下させる
 

3. 薬理作用ごとの特徴

作用特徴
骨形成促進骨芽細胞の分化と活性化を促進(anabolic action)
骨吸収高用量または持続的刺激では骨吸収も亢進
カルシウム代謝血中カルシウム濃度を一過性に上昇

4. 主な薬剤例

薬剤名(一般名)商品名投与方法用法
テリパラチドフォルテオ®皮下注シリンジ毎日投与
テリパラチド酢酸塩テリボン®皮下注バイアル週1回投与
バイオシミラーテリルテオBSなど皮下注シリンジ等毎日投与

5. 対象疾患

骨粗鬆症(特に以下のような高リスク患者
  • 骨折既往のある閉経後女性
  • 骨密度が著しく低い(YAM <70%など)
  • ステロイド性骨粗鬆症
 

6. 注意点・副作用

主な副作用

  • 悪心、嘔吐
  • 血中カルシウム濃度の上昇(軽度の高カルシウム血症)
  • 注射部位反応(発赤、かゆみ)
  • めまい・立ちくらみ(投与直後に注意)
 

重要な注意点と対策

注意点概要対策例
骨肉腫リスク(ラットにおける報告)長期投与で骨肉腫の発生率が上昇(ラット)原則通算24か月以内の使用制限
高カルシウム血症一過性の上昇があるが、腎機能低下やビタミンD過剰で悪化血清Caモニタリング、症状あれば中止
低血圧(起立性含む)投与直後に一過性の血圧低下があることがある就寝前や座位投与、初回投与時の注意喚起
費用面他の骨粗鬆症治療薬よりも高額高リスク例に保険適応を確認して使用

7. 類薬との使い分け

  • 骨形成促進が最優先の重度骨粗鬆症:椎体骨折既往などで骨密度回復が急務の場合に第一選択。
  • ビスホスホネート/デノスマブが使いづらい例:消化管障害や腎機能低下で骨吸収抑制薬を避ける必要がある場合に検討。
  • 治療終了後は骨吸収抑制薬に切り替え:テリパラチド投与後はリモデリング窓が開いたままになるため、ビスホスホネートやデノスマブで骨量の維持を行う。
ポイント: