Hughes D, JAMA. 2020

PICO

  • Population(対象)
    • 無作為化臨床試験に登録された高血圧患者 96,158 名(平均年齢 69 歳、女性 42.2%)。
  • Intervention(介入)
    • 抗高血圧薬による血圧降下療法。
  • Comparator(対照)
    • プラセボ、別の降圧薬、またはより緩やかな血圧目標群。
  • Outcome(評価項目)
    • 一次アウトカム:認知症または認知機能障害の発症率
    • 二次アウトカム:認知機能低下、認知検査スコアの変化

主な結果

  1. 認知症/認知機能障害の発症
      • 12 試験(92,135 名)のメタ解析:
        • 発症率:7.0% vs 7.5%
        • オッズ比(OR)0.93(95% CI, 0.88–0.98)
        • 絶対リスク減少 0.39%(95% CI, 0.09%–0.68%)
        • 異質性 I² = 0.0%
  1. 認知機能低下
      • 8 試験のメタ解析:
        • 発生率:20.2% vs 21.1%
        • OR 0.93(95% CI, 0.88–0.99)
        • 絶対リスク減少 0.71%(95% CI, 0.19%–1.2%)
        • 異質性 I² = 36.1%
  1. 認知検査スコアの変化
      • 8 試験で評価されたものの、有意な差は認められず。
  1. フォローアップ期間
    1. 平均 49.2 か月(約 4.1 年)。

考察と限界

  • 効果の大きさ:絶対リスク減少は小さいものの、一貫して認知障害リスクの軽減が示された。
  • 検出感度:認知検査スコアの変化が有意でなかったのは、試験ごとに使用テストや評価時期が異なるため、検出力に限界がある可能性。
  • 薬剤クラス別検討:本メタ解析では薬剤クラス間の比較を行っておらず、最適な薬剤選択に関する結論は得られていない。
  • 対象集団:平均年齢やベースライン血圧が比較的高めの集団に限られるため、軽度高血圧や高齢超高齢者への一般化には注意が必要。

結論

抗高血圧薬による血圧降下は、認知症および認知機能障害の発症リスクをわずかに低減させる可能性がある。一方で、認知検査スコアの改善までは示されず、薬剤選択や介入開始時期、目標血圧設定などの最適化を検証する追加研究が求められる。