四環系抗うつ薬(TeCAs)
四環系抗うつ薬(TeCAs)
四環系抗うつ薬(Tetracyclic Antidepressants: TeCAs)は、化学構造に四環性骨格をもち、主にノルアドレナリンおよびセロトニンの神経伝達を調節する抗うつ薬です。三環系抗うつ薬(TCAs)に似た骨格ですが、イミプラミン骨格と異なる点で分類されます。
- α₂-アドレナリン受容体拮抗:シナプス前抑制性α₂受容体を遮断し、ノルアドレナリンおよびセロトニン(5-HT)の遊離を増加させる。
- 5-HT₂受容体拮抗:一部のTeCA(例:ミアンセリン)は5-HT₂受容体にも拮抗し、不安や不眠の改善に寄与。
- ヒスタミンH₁受容体拮抗:強い鎮静作用を示す。
- 抗コリン作用やβ遮断作用はTCAsほど強くないものが多い。
| 作用 | 特徴 | 臨床的意義 |
| α₂受容体拮抗 | ノルアドレナリン・セロトニン増強 | 抗うつ効果の中核 |
| 5-HT₂受容体拮抗 | 不安・不眠の軽減 | 睡眠改善、抗不安 |
| H₁受容体拮抗 | 強い鎮静・食欲増進 | 早期の入眠改善、体重増加リスク |
| 抗コリン作用(弱) | 三環系より副作用は少なめ | 口渇・排尿障害リスクは中等度 |
| その他受容体作用 | α₁遮断による起立性低血圧(中等度) | ふらつき注意 |
- 大うつ病性障害
- 不安障害(併用・オフラベル)
- 不眠を伴う抑うつ状態
- 鎮静・眠気
- 概要:H₁受容体拮抗により著明。日中の眠気や注意力低下を来す可能性あり。
- 対策:就寝前投与を徹底、徐放製剤の使用や他の鎮静薬との併用を避ける。
- 体重増加・食欲亢進
- 概要:H₁・5-HT₂拮抗作用で起こる。
- 対策:食事・運動指導を併用、定期的体重モニタリング。
- 起立性低血圧・めまい
- 概要:α₁遮断作用による。
- 対策:立ち上がり時の注意指導、初期低用量漸増。
- 口渇・便秘(抗コリン作用)
- 概要:TCAsほどではないが中等度に認める。
- 対策:水分摂取、唾液分泌促進剤や緩下薬の検討。
- 骨転移や転倒リスク増加
- 概要:高齢者では鎮静・起立性低血圧により転倒リスク増大。
- 対策:転倒予防の環境整備、服薬支援・服用タイミングの工夫。
- 三環系抗うつ薬(TCAs)
- TeCAsは鎮静・体重増加が強い一方、抗コリン作用や心毒性は比較的弱い。
- 重篤な心疾患合併例ではTeCAを選択する場合がある。
- NaSSA(ミルタザピン)
- 同じα₂拮抗機序で鎮静・体重増加も類似。NaSSAは5-HT₂・5-HT₃拮抗が主、TeCAは薬剤によって特徴が異なる。
- SSRI/SNRI
- TeCAsは鎮静が必要な症例(不眠併発うつ)に適し、SSRI/SNRIは非鎮静性で第一選択に。TeCAは第二選択またはSSRI副作用不耐容時に。
- その他
- 抗不安作用重視なら5-HT₂拮抗のミアンセリン、ノルアドレナリン作用重視ならマプロチリンを使い分け。
ポイント:
四環系抗うつ薬はα₂受容体拮抗を中心とした独特の作用機序と強い鎮静性を持ち、対象症例や併用注意に応じて他薬と使い分けます。副作用への対策を講じつつ、患者フォローをすることが重要です。