Chmielewski M, Pol J Radiol. 2024

Citation
Chmielewski M, Serafin Z, Kamińska D, Skrobisz K, Kozak O, Olczyk P, Rutkowski P, Adamczak M, Szurowska E, Krajewska M. The use of intravascular contrast media in patients with impaired kidney function - joint clinical practice position statement of the Polish Society of Nephrology and the Polish Medical Society of Radiology. Pol J Radiol. 2024 Mar 21;89:e161-e171. doi: 10.5114/pjr.2024.136950. PMID: 38550960; PMCID: PMC10976626.

Title(英語と日本語)

The use of intravascular contrast media in patients with impaired kidney function – joint clinical practice position statement of the Polish Society of Nephrology and the Polish Medical Society of Radiology
腎機能障害患者における血管内造影剤の使用に関するポーランド腎臓学会およびポーランド放射線医学会の共同臨床実践声明

Journal Name & Publication Year(雑誌名と出版年)

Polish Journal of Radiology, 2024年

First and Last Authors(第一著者と最終著者)

First Author: Michał Chmielewski
Last Author: Magdalena Krajewska

First Affiliations(第一所属機関)

Department of Nephrology, Transplantology, and Internal Medicine, Medical University of Gdansk, Poland

Abstract(要旨)

造影剤を用いた放射線検査は現代医学において不可欠であるが、腎機能障害患者では腎毒性の懸念から使用が制限されていた。本論文では、これまでの制限的な方針を見直し、最新の研究知見に基づいて腎機能障害患者における造影剤の使用に関する新たなガイドラインを提示する。新しいエビデンスでは、造影剤と腎障害の因果関係は証明されておらず、安全性が見直されている。

Background(背景)

造影剤による腎障害(CI-AKIまたはCIN)は、長年にわたり重大なリスクとされてきたが、近年の研究では、腎障害の原因とは限らず、使用が過度に制限されている実態がある。腎疾患患者は心血管・腫瘍診断でも造影検査を受ける機会が減少している。

Methods(方法)

腎臓病専門医と放射線科医による多職種チームが、最新の文献とガイドライン(KDIGOなど)を基に、腎障害患者に対する血管内造影剤使用に関する共同推奨を策定した。

Results(結果)

・eGFR ≥ 30 ml/min/1.73m²の患者では、造影剤の使用による腎障害リスクは非常に低い。
・eGFR < 30 ml/min/1.73m²の患者でも、状況に応じて造影検査は許容される。
・予防的水分補給は一律には推奨されず、臨床判断に基づくべきである。
・腎毒性予防の薬剤(N-アセチルシステイン等)は推奨されない。
・GFR < 30 ml/min/1.73m²の患者では、48〜72時間以内のeGFR再評価が推奨される。

Discussion(考察)

造影剤の腎毒性に対するこれまでの理解は過剰であった可能性がある。最新のデータでは、腎障害との直接的な関連性は乏しく、造影剤の種類や投与経路(静脈 vs 動脈)に応じた適切な判断が求められる。

Novelty compared to previous studies(先行研究との新規性)

過去のガイドラインに比べ、より寛容な立場をとっており、CKDやAKI患者に対しても必要な検査は制限なく実施すべきという立場を明確に打ち出している。

Limitations(限界)

前向き無作為化試験が不足しており、多くのエビデンスが後ろ向き観察研究やメタアナリシスに基づいている点は留意すべきである。

Potential Applications(応用可能性)

このガイドラインは、腎機能障害患者における不必要な造影検査回避を減らし、正確な診断と治療につなげることが期待される。臨床現場において放射線科医と主治医の協働体制の整備が鍵となる。
 
 

休薬について

本論文の**Statement 3.3「腎毒性の可能性がある薬剤の休薬」**において、以下のようにまとめられています:

メトホルミン

  • eGFR < 30 ml/min/1.73 m²の患者には使用すべきではない(製品添付文書に基づく)。
  • eGFRが30〜44 ml/min/1.73 m²の場合は、1日最大1000 mgまでに制限すべき
  • ICM投与前に中止する必要はないが、ショックやAKIを伴う場合は乳酸アシドーシスのリスクがあるため特に注意が必要

RAAS阻害薬(ACE阻害薬、ARBなど)

  • 小規模研究や一部のメタアナリシスではPC-AKIとの関連が示唆されたが、ランダム化比較試験に基づくメタアナリシスでは明確な関連なし
  • 一般的にICM投与前に中止する必要はない

NSAIDs、利尿薬、SGLT2阻害薬、その他

  • 高齢者や脱水状態の患者では、NSAIDsや利尿薬がCKDの進行やAKIリスクを増加させる可能性がある。
  • しかしながら、ICM投与前の一律な休薬は推奨されていない
  • SGLT2阻害薬の慢性的な使用はPC-AKIリスクを低下させる可能性が示唆されているが、投与直前の有効性は不明

結論

  • メトホルミンはeGFR < 30の場合は禁忌
  • それ以外の薬剤(RAAS阻害薬、NSAIDs、利尿薬、SGLT2iなど)は、ICM投与前に routine に中止する必要はない
  • 個別の臨床状況に応じて判断することが重要