Papotti B, Curr Res Pharmacol Drug Discov. 2021

Papotti B, Marchi C, Adorni MP, Potì F. Drug-drug interactions in polypharmacy patients: The impact of renal impairment. Curr Res Pharmacol Drug Discov. 2021 Mar 29;2:100020. doi: 10.1016/j.crphar.2021.100020. PMID: 34909655; PMCID: PMC8663981.

Title

Drug-drug interactions in polypharmacy patients: The impact of renal impairment
多剤併用患者における薬物相互作用:腎機能障害の影響

Journal Name & Publication Year

Current Research in Pharmacology and Drug Discovery, 2021年

First and Last Authors

Bianca Papotti, Francesco Potì

First Affiliations

University of Parma, Department of Food and Drug, Parma, Italy

Abstract

慢性腎臓病(CKD)患者では、多疾患併存により多剤併用(ポリファーマシー)が一般的であり、薬物相互作用(DDI)のリスクが著しく高い。本レビューでは、CKD患者におけるDDIの有病率(56.9–89.1%)を示し、腎機能障害が薬物動態・薬力学をどのように変化させ、相互作用を増幅させるかを整理している。臨床的に重要な相互作用の機序、頻発する薬剤組み合わせ、管理戦略について概説する短編レビューである。

Background

CKDはGFR低下や尿毒症性環境を通じて、薬物の排泄のみならず吸収・分布・代謝にも影響を及ぼす。CKD患者では高血圧、糖尿病、心血管疾患などの併存疾患が多く、平均8剤前後の薬剤が処方される。これによりDDIや有害薬物反応(ADR)のリスクが増大し、入院率や死亡率の上昇と関連する。

Methods

本研究はナラティブ・ショートレビューであり、CKD患者における多剤併用とDDIに関する既存の観察研究・疫学研究を整理している。特に、CKD患者で頻用される薬剤クラス(降圧薬、利尿薬、鉄剤、カルシウム製剤、スタチンなど)を中心に、DDIの頻度、重症度分類(Type A–X)、機序(PK/PD)をまとめている。

Results

  • DDI有病率:CKD患者で27.5–89.1%。多くは中等度(Type C)、重篤(Type D, X)は0.1–1%と稀。
  • 代表的DDI
    • CaCO₃ × 硫酸鉄:消化管pH上昇により鉄吸収低下(Type B/C、最大45.8%)。
    • CaCO₃ × アムロジピン:Ca拮抗薬効果減弱→血圧上昇(Type C)。
    • フロセミド × ACE阻害薬:初回投与後の重度低血圧・腎低灌流。
    • フロセミド × アスピリン/NSAIDs:利尿・降圧効果低下(PG阻害)。
    • スタチン × リトナビル:CYP3A4阻害による横紋筋融解リスク増大。
    • セフトリアキソン × Ca含有輸液:致死的沈殿形成(Type X、絶対禁忌)。
  • 機序:GFR低下、CYP発現低下、尿毒素によるCYP阻害、蛋白結合率変化、分布容積変化。

Discussion

CKDでは腎排泄低下だけでなく、肝・腸CYPやトランスポーター発現変化により非腎クリアランス薬でも血中濃度が上昇する。DDIは避けられない場合も多く、完全回避より**リスク管理(モニタリング・代替薬選択)**が現実的戦略である。臨床薬剤師・薬理専門家の関与により、DDI検出・予防が改善することも示唆されている。

Novelty compared to previous studies

本論文は、CKD患者におけるDDIを単なる列挙ではなく、腎障害特有のPK/PD変化と結びつけて体系的に整理している点が新しい。また、頻度・重症度・臨床対応策を具体的に提示している。

Limitations

  • 多くが観察研究・後ろ向き研究
  • 地域差・処方慣行の違いによるバイアス
  • 標準化されたDDI評価アルゴリズムが存在しない

Potential Applications

  • CKD患者の処方レビュー・減薬(deprescribing)戦略
  • DDIハイリスク組み合わせの事前回避
  • 臨床薬剤師を含む多職種CKD外来モデルの推進
  • 将来的なDDIガイドライン作成の基礎資料