血液生化学検査(短期・長期)

[POINT]栄養状態の評価は栄養指標だけでなく、基礎疾患既往歴身体所見身体測定もあわせて、総合的な判断が必要
 
急性期

動的栄養指標

RTP, rapid turn over protein

  • 肝臓で合成され、血液中に短期間で反映されるタンパク質の総称
  • 栄養状態を迅速に評価する指標として用いられる
  • 「動的栄養指標」と呼ばれる
指標名半減期基準値(成人)特徴・利点注意点・限界
トランスサイレチン, TTR(プレアルブミン)約2日M, 23–42 mg/dL F, 22–34 mg/dL- 短期間の栄養変化に敏感 - 高感度- 急性期反応性タンパク質でもある(炎症で低下)- 肝機能障害で変動
レチノール結合蛋白, RBP約12時間M, 3.6–7.2 mg/dL F, 2.2–5.3 mg/dL- 最短の半減期で最も早く変化を捉えられる- ビタミンA状態に依存 - 腎機能障害で上昇
トランスフェリン、Tf約8日M, 190–300 mg/dL F, 200–340 mg/dL- 栄養改善をやや早期に反映- 鉄代謝や炎症、肝機能の影響を受けやすい
インスリン様成長因子-1, IGF-1約12–15時間男性:100–250 ng/mL 女性:100–300 ng/mL- 成長因子として栄養状態や蛋白合成活性を反映- ホルモン状態や糖代謝、肝障害など多因子で変動
特徴:感度が高く、短期的な栄養療法の効果判定に使われる
ただし、特異性は低い(炎症性疾患や肝・腎機能でも影響される)ため、栄養療法の影響だけを考慮するのではなく、低値の時には、一緒にCRP、AST/ALT、腎機能(eGFR)なども合わせて確認し、栄養状態以外による影響を考慮することが重要
 

静的栄養指標

  • 血清タンパク質や体組成など、半減期が比較的長く、慢性的な栄養状態(過去数週間~数か月の栄養バランス)を反映する指標
  • 長期的な栄養リスクのスクリーニングや低栄養の判定に用いられる
指標名半減期・反映期間基準値(成人)特徴・利点注意点・限界
アルブミン(Albumin)半減期 約18–20日3.8–5.3 g/dL- 長期的栄養状態のスクリーニングに標準的 - 肝合成能の指標にもなる- 急性期での変動は鈍い - 炎症や脱水で影響を受ける
総蛋白(Total Protein)半減期 約20–30日6.5–8.0 g/dL- 全身の蛋白蓄積量を大まかに把握- グロブリン増減(炎症・免疫反応)で値が上下
コレステロール(Chol)数週間150–219 mg/dL- 長期的な栄養摂取状況(脂質摂取)を反映- 脂質代謝異常や肝疾患で変動
BMI(Body Mass Index)体重変化の累積18.5–24.9 kg/m²- 簡便に栄養リスクを評価可能- 筋肉量と脂肪量の区別ができない
経皮的皮下脂肪厚(TSF)数週間~数か月男性:10–20 mm女性:15–25 mm- 体脂肪の貯蔵量を直接評価- 技術者間誤差が大きい- 浮腫で誤差が出やすい
血液生化学検査以外に、静的栄養指標として用いられる身体計測値に、BMIなどがある
指標名半減期・反映期間基準値(成人)特徴・利点注意点・限界
BMI(Body Mass Index)体重変化の累積18.5–24.9 kg/m²- 簡便に栄養リスクを評価可能- 筋肉量と脂肪量の区別ができない
経皮的皮下脂肪厚(TSF)数週間~数か月男性:10–20 mm女性:15–25 mm- 体脂肪の貯蔵量を直接評価- 技術者間誤差が大きい- 浮腫で誤差が出やすい