MRCI
- MRCI, Medication regimen complexity index
- 処方の複雑さを評価するツール
- 国際的に使用される評価ツールであり、ポリファーマシー管理において薬剤数以外の要素を客観的に分析する
- 日本独自のツールも開発されている
MRCIの基本構造
3つのセクションで構成され、65項目のチェックリストからスコア化されます:
- セクションA(剤形)
- 経口薬(錠剤1点、液剤2点)
- 外用剤(軟膏3点、パッチ4点)
- セクションB(投与頻度)
- 1日1回:1点
- 1日3回:3点
- セクションC(追加条件)
- 食事関連指示(+2点)
- 漸減/漸増(+3点)
合計スコアが高いほど処方が複雑と判定され、服薬アドヒアランス低下や有害事象リスク上昇との関連が指摘されています。
日本におけるMRCIの適用と改良
従来のMRCIの問題点(一包化評価不可・剤形対応不足)を解決するため、日本版ツールが開発されました:
- 主な改良点:
- 一包化/PTPの点数分離
- 週数回/月1回製剤の反映
- 粉砕指示の評価体系化
- 評価フロー:
- 処方箋ごとにA表(剤形)を計算
- B表(一包化/PTP)で包装方法を評価
- C表(追加指示)で特殊条件を加算
臨床的意義と研究結果
1. アドヒアランスへの影響
- MRCIスコア≧19.5で服薬管理不良リスクが2.3倍増加
- 高血圧患者ではアドヒアランス不良群でMRCIが有意に高値
2. 予後との関連
- スウェーデン研究:MRCI1単位増で死亡リスク12%上昇(HR=1.12)
- 心不全患者:再入院群でMRCI30.8 vs 非再入院群26.3(p<0.01)
3. ポリファーマシーとの比較
- 5剤以上処方では死亡リスクに明確な関連なし
- MRCIが予後予測に優れる可能性
従来MRCI vs 日本版MRCIの比較
| 項目 | 従来MRCI | 日本版MRCI |
| 評価対象 | 単一处方箋 | 複数処方箋対応 |
| 一包化評価 | 不可 | PTP/一包化を別途評価 |
| 剤形対応 | 2004年基準 | 現代の剤形を反映 |
| 粉砕指示 | 簡易評価 | 詳細な点数化 |
| 週/月単位処方 | 未対応 | 追加項目で評価 |
現場適用のポイント
- カットオフ値:内服MRCI19.5以上で服薬管理リスク上昇
- 高齢者対応:71歳以上ではMRCI影響が顕著
- 多職種連携:薬剤師による処方簡素化提案が効果的
MRCIはポリファーマシー評価において「薬剤数」だけでなく「処方の複雑さ」という新たな視点を提供し、個別化された処方設計に有用なツールです。
MRCI 日本版


長寿医療研究開発費 2019年度 総括研究報告(総合報告及び年度報告)
ポリファーマシー削減のための「処方見直しガイド」作成に関する研究
主任研究者 溝神 文博 国立長寿医療研究センター 薬剤部(薬剤師)