DIPSスケール

DIPSスケール

2つ以上の薬剤が関与する可能性のある相互作用による有害事象の「因果関係」の可能性を評価するためのツール

📋 DIPSスケールの構成(主な質問とスコア付け)

以下、論文及び解説資料から確認できる主な項目を抜粋します。 daidohp.or.jp+2health.belgium.be+2
項目番号質問内容(要約)Yes のスコアNo のスコア
1人でこの相互作用の信頼できる報告があるか?+1–1
2その“原因薬(precipitant drug)”の既知の相互作用性/薬理特性と一致するか?+1–1
3“影響を受けた薬(object drug)”の既知の相互作用性/薬理特性と一致するか?+1–1
4発症時期や消失時期が相互作用の起こり得る時期と合理的に一致するか?+1–1
5原因薬を中止(影響を受けた薬を変えず)して事象が改善したか?+1–2
6原因薬を再投与して、影響を受けた薬を継続中に再び事象が起こったか?+2–1
7他に合理的な原因(薬物以外/他薬/病態)があるか?–1+1
8影響を受けた薬の血中その他体液濃度が相互作用予想どおり変化したか?+10
9血中濃度以外の客観的証拠(例えば薬物動態パラメータ変化、輸送体/代謝酵素の効果など)があるか?+10
10原因薬の増量で事象がより強く/減量で事象が弱くなったか?+1–1
  • 合計スコアにより分類:
    • Highly Probable:> 8点
    • Probable:5-8点
    • Possible:2-4点
    • Doubtful:< 2点 health.belgium.be+1
 

🧑‍⚕️ 薬剤師としての活用ポイント・留意点

  • DIPSは「薬物間相互作用による有害事象(ADR)もしくは臨床事象」の因果関係を構造的に評価できるツールです。つまり、単一薬剤のADR評価(Naranjo)とは異なり、「原因薬/影響薬」の関係を明確に想定しています。
  • 実際の症例で「2剤以上併用していた」「特に代謝酵素や輸送体を介した相互作用が疑われる」「血中濃度変化等の客観的データがある」といった状況では、DIPSを用いることで評価を体系化できるメリットがあります。
  • ただし、論文中でも指摘されている通り、限界があります。例えば
    • 相互作用のメカニズムや薬理動態知識が十分でないと、正しい評価が困難。 PubMed+1
    • 報告症例に関する情報が限られている(血中濃度データなし/再挑戦なし/他因子多)と、スコアが低めになり“false negative”になる可能性あります。 health.belgium.be
    • スコアはあくまで「この患者/この事例における可能性評価」であり、一般化・全例への適用ではないこと。 ResearchGate
  • 調剤監査・服薬指導・副作用疑義照会・薬歴記載時には、DIPSを用いて「この併用薬の組み合わせで相互作用の可能性がどれくらいか」を整理しておくと、相談時・報告時の根拠強化につながります。
  • また、症例報告や院内安全検討会で「この併用は因果関係が高い/疑われる」と判断する際、DIPSスコアを併記することで客観性を高められます。