薬物動態学 PK

薬物動態学(PK)とは

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薬物動態学(Pharmacokinetics:PK)とは、身体が薬物に対して何をするかを研究する学問。
薬物が投与されてから体外に排泄されるまでの過程(吸収・分布・代謝・排泄)を扱う。

ADME(薬物動態の4つの過程)

略称過程内容
A吸収(Absorption)薬物が投与部位から血液中に入る過程。投与経路(経口・注射・経皮など)により吸収率や速度が異なる
D分布(Distribution)血液中の薬物が各組織・臓器に運ばれる過程。タンパク質結合率、血液脳関門(BBB)などが関与する
M代謝(Metabolism)薬物が主に肝臓で化学的に変換される過程。CYP(チトクロムP450)が主な代謝酵素
E排泄(Excretion)薬物やその代謝物が体外に排出される過程。主に腎臓(尿中)、肝臓(胆汁中)から排泄される

薬物動態学の重要な指標

指標意味
血中濃度薬物が血液中にどれだけ存在しているか。効果や副作用に直結する
半減期(t½)血中濃度が半分になるまでの時間。投与間隔の決定に重要
バイオアベイラビリティ(BA)投与された薬物が全身循環に到達する割合。静脈内投与では100%
クリアランス(CL)単位時間あたりに薬物が体内から除去される能力
分布容積(Vd)薬物が体内でどれだけ広がっているかの指標。値が大きいほど組織に広く分布している

薬力学(PD)との比較

項目薬物動態学(PK)薬力学(PD)
英語名PharmacokineticsPharmacodynamics
問い身体が薬物に対して何をするか薬物が身体に対して何をするか
対象薬物の体内での動き(濃度変化)薬物の効果・作用の発現
主な内容吸収(A)・分布(D)・代謝(M)・排泄(E)受容体への結合、用量−反応関係、作用機序
キーワード血中濃度、半減期、BA、CL、Vd受容体、アゴニスト、アンタゴニスト、EC₅₀
一言で薬が「どこに」「どれだけ」届くか届いた薬が「何を」「どのくらい」するか
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PK=「身体が薬に何をするか」(吸収・分布・代謝・排泄)
PD=「薬が身体に何をするか」(薬理作用・効果)
この2つは表裏一体であり、薬物治療の効果と安全性を決定する。

PK と PD の関係

  • PKが作用部位の薬物濃度を決め、PDがその濃度でどれだけの効果が出るかを決める
  • PKが変化する患者背景(小児・高齢者・腎機能低下・肝機能低下など)では、同じ用量でも薬物血中濃度が変わり、効果や副作用が変化する

薬物相互作用における PK と PD

種類薬物動態的相互作用(PK)薬力学的相互作用(PD)
メカニズム一方の薬がもう一方の薬のADMEに影響する同じ作用部位や生理機能に複数の薬が作用する
血中濃度変化する変化しない
CYP阻害薬が併用薬の代謝を阻害 → 血中濃度上昇同じ受容体に作用する2剤併用 → 効果増強や減弱
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PK的相互作用では血中濃度が変化するが、PD的相互作用では血中濃度は変化しない。これが両者を区別する重要なポイント。

PKが変化する患者背景

薬物動態に影響を与える代表的な個人差の要因:
  • 小児:CYP活性が未熟、細胞外液が多い、BBB未発達
  • 高齢者:代謝酵素活性低下、腎機能低下(GFR低下)
  • 妊婦:循環血漿量増加、アルブミン減少、腎血流量増加
  • 肝機能障害:代謝が低下し、薬物が蓄積しやすい
  • 腎機能障害:排泄が低下し、薬物が蓄積しやすい

まとめ

  • 薬物動態学(PK)は「身体が薬に何をするか」を扱い、ADME(吸収・分布・代謝・排泄)が中心
  • 薬力学(PD)は「薬が身体に何をするか」を扱い、受容体結合や作用機序が中心
  • PKが作用部位の薬物濃度を決め、PDがその濃度での効果を決める(表裏一体
  • 患者背景(小児・高齢者・妊婦・肝機能・腎機能)によりPKが変化し、治療効果や副作用に影響する
  • 薬物相互作用にはPK的相互作用とPD的相互作用があり、血中濃度が変化するかどうかが鍵