高齢者

高齢者の薬物治療の基本的な考え方

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高齢者は服用薬剤数が多く代謝・排泄機能が低下しているため、薬物が体内に蓄積しやすく、副作用が出やすい。薬の使用は必要最小限とし、少量から開始して必要に応じて徐々に増量する。

高齢者の特徴

① 服用薬剤数が多い(ポリファーマシー)

  • 複数の医療機関を受診していることが多く、服用薬剤数が多い傾向にある
  • 服用薬剤数が多いと、薬の相互作用副作用の危険性が高くなる

② 薬に対する感受性が高い

  • 中枢神経系に対する薬の副作用が起こりやすい
  • 姿勢の変化に対応するための血圧の調整が困難になりやすい

感受性の変化

高齢者で起こりやすい副作用

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ふらつき・転倒物忘れうつせん妄便秘排尿障害
  • 転倒 → 骨折 → 寝たきり → 認知障害の進行、という悪循環に陥る危険性がある

対策

  • 使う薬の量は必要最小限にする
  • まずは少量を使い、必要な場合は徐々に増やしていく
  • 例:ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬は、原則として高齢者にはできるだけ使わない。代替薬があればそちらを使用する
  • 薬によっては、高齢者の上限量が制限されているものがある

高齢者の薬物動態(ADME)の特徴

吸収:(臨床での影響はあまり大きくない)
  • 経口投与における Cmax の低下と Tmax の延長
 
 
分布
脂溶性の薬:麻酔薬など
水溶性薬:抗菌薬など
 

代謝:機能低下

  • 代謝酵素の活性が低下するため、薬が分解できず薬物の血中濃度が上昇する
 

排泄:機能低下

  • 腎血流量が低下(GFR低下)→ 糸球体濾過が減少 → 薬物血中濃度が上昇する
⚠️
代謝・排泄機能の低下により、薬物が体内に蓄積しやすい状態になるため、副作用が出やすい。
過程高齢者の状態薬物動態への影響
代謝(肝臓)代謝酵素の活性低下血中濃度が上昇しやすい
排泄(腎臓)腎血流量の低下(GFR低下)薬物が蓄積しやすい
感受性中枢神経系の感受性が高いふらつき・せん妄等の副作用が出やすい
服用薬剤数多剤併用(ポリファーマシー)相互作用・副作用のリスク増大

小児との比較

項目小児高齢者
代謝・排泄未熟(まだ発達していない)低下(加齢による衰え)
薬物血中濃度上昇しやすい上昇しやすい
中枢神経の感受性BBB未発達で高い加齢により高い
特有の問題成長への影響、剤形の工夫ポリファーマシー、転倒・骨折リスク
用量の考え方換算式で小児量を求める少量から開始、必要に応じて漸増

まとめ

  • 高齢者は代謝・排泄機能が低下し、薬物が蓄積しやすい
  • ポリファーマシーにより、相互作用・副作用のリスクが増大する
  • ふらつき・転倒・せん妄・便秘・排尿障害など、高齢者特有の副作用に注意が必要
  • 薬は必要最小限・少量から開始が原則
  • 転倒→骨折→寝たきり→認知障害の悪循環を防ぐことが重要