BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬

BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(BCR-ABL TKI)

① 薬効群の概要

フィラデルフィア染色体(t(9;22))由来のBCR-ABL融合キナーゼを標的とする分子標的薬。慢性骨髄性白血病(CML)やPh陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)で中心的治療となる。
  • 多くはATP結合部位に結合(薬剤により結合様式・標的範囲が異なる)
  • 耐性変異(例:T315I)や併存疾患(心血管リスク等)で薬剤選択が変わる

② 作用機序

  • BCR-ABL(構成的に活性化されたチロシンキナーゼ)を阻害し、白血病細胞の増殖・生存シグナルを抑制
  • 薬剤ごとに標的(ABL以外のSRC/PDGFR/c-KIT等)や副作用プロファイルが異なる

③ 代表薬(世代の目安)

世代/分類代表薬ポイント
第1世代イマチニブ浮腫・体液貯留など。相互作用(CYP)に注意。
第2世代ダサチニブ ニロチニブ ボスチニブダサチニブ:胸水/肺高血圧に注意。ニロチニブ:QT延長、脂質・血糖、血管イベントに注意。
第3世代ポナチニブT315I変異を含む耐性例で重要。血栓性イベント/高血圧など心血管系に注意。
新規機序アシミニブ(ABLミリストイルポケット阻害)他TKIと交差耐性が少ない場合。適応・位置づけはレジメンで確認。

④ 観察・指導ポイント

  • 骨髄抑制:好中球/血小板減少(開始初期〜用量調整期に注意)
  • 浮腫・体液貯留(イマチニブ等):眼瞼浮腫、体重増加
  • 呼吸器症状(ダサチニブ等):息切れ、咳、胸部不快感(胸水/肺高血圧)
  • 心血管イベント(ニロチニブ、ポナチニブ等):血圧、虚血症状、末梢循環(しびれ/冷感/疼痛)
  • 肝機能障害:AST/ALT
  • 代謝系(ニロチニブ等):血糖・脂質
  • QT延長(ニロチニブ等):併用薬/電解質異常に注意
  • 相互作用:CYP3A4阻害/誘導薬、制酸薬(薬剤により)
⚠️
BCR-ABL TKIは 開始初期の骨髄抑制 と、薬剤ごとの 心血管系/呼吸器系の有害事象 が重要。息切れ・胸部症状、急な体重増加や浮腫、発熱、出血兆候は早めに報告。併用薬(OTC/サプリ含む)追加前に相互作用を確認。