キノロン系抗菌薬

キノロン系抗菌薬(フルオロキノロン系)

① 薬効群の概要

  • キノロン系抗菌薬(フルオロキノロン)は、細菌のDNA複製に必要な酵素を阻害する殺菌性抗菌薬
  • 経口薬でもバイオアベイラビリティが高い薬が多く、呼吸器・尿路など幅広い感染症で用いられる
  • 一方で重篤な副作用(腱障害、末梢神経障害、中枢神経症状、QT延長、大動脈関連など)が問題になり得るため、適応とリスク評価が重要

② 作用機序

  • DNAジャイレース(トポイソメラーゼII) および トポイソメラーゼIV を阻害
  • DNAの複製・修復ができなくなり、細菌が死滅(殺菌)
  • 耐性機序として
    • 標的酵素の変異
    • 排出(エフラックスポンプ)
    • 透過性低下(ポーリン変化)
    • などが知られる
💡
金属イオン(Mg/Al/Ca/Feなど)とキレートを形成して吸収低下し得る → 服用指導で重要。

③ 代表薬(分類と例)

薬剤例(一般名)主な用途(例)ポイント
レボフロキサシン呼吸器感染、尿路感染など腎機能に応じた調整が必要なことがある(薬剤ごと)
シプロフロキサシングラム陰性桿菌(緑膿菌など)を想定する感染など適応・感受性に基づき使用。相互作用にも注意
モキシフロキサシン呼吸器感染など(薬剤特性による)QT延長に注意(薬剤ごとの注意事項を確認)

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 腱障害:アキレス腱痛、腫脹、歩行時痛(特に高齢者、ステロイド併用など)
  • 末梢神経障害:しびれ、疼痛、感覚異常
  • 中枢神経:不眠、めまい、錯乱、けいれん(既往や併用薬でリスク)
  • 不整脈:動悸、失神、めまい(QT延長〜TdP)
  • 消化器症状:下痢(抗菌薬関連下痢、C. difficile を念頭)
  • 相互作用/服用指導
    • 制酸薬(Al/Mg)、鉄剤、カルシウム、乳製品などで吸収低下(時間をずらす)
    • 併用薬(QT延長薬、ワルファリン等)確認
⚠️
重篤な副作用のリスクがあるため、軽症感染での安易な使用は避け、適応がある場合も症状出現時は早期に中止・相談(医師へ連絡)できるよう指導する。

関連ワード

  • 抗微生物薬への耐性(AMR)
  • 菌交代症/日和見感染
  • QT延長