マルチキナーゼ阻害薬

マルチキナーゼ阻害薬

① 薬効群の概要

複数の受容体チロシンキナーゼ(例:VEGFR、PDGFR、FGFR、KIT、RET など)や関連キナーゼを同時に阻害する分子標的薬の総称。薬剤ごとに標的・適応が異なる。
  • 血管新生(VEGF経路)を抑える薬が多く、高血圧・蛋白尿・出血/血栓・創傷治癒遅延などがクラス副作用として重要
  • 皮膚(手足症候群/HFSR)、消化器(下痢・食欲不振)、肝障害なども頻出
  • 併用薬(CYP)・処置/手術予定の確認が重要

② 作用機序

  • 腫瘍増殖シグナルと血管新生シグナル(VEGF系)を含む複数経路を同時に阻害
  • その結果、腫瘍血管形成抑制・腫瘍増殖抑制に寄与する

③ 代表薬(例)

薬剤(例)標的/特徴(例)適応の例(※薬剤ごとに確認)
ソラフェニブRAF、VEGFR など肝細胞がん、腎細胞がん、甲状腺がん など
スニチニブVEGFR、PDGFR、KIT など腎細胞がん、GIST、膵NET など
レンバチニブVEGFR、FGFR など甲状腺がん、肝細胞がん、腎細胞がん(併用)など
レゴラフェニブVEGFR など多標的大腸がん、GIST、肝細胞がん など
パゾパニブVEGFR、PDGFR など腎細胞がん、軟部肉腫 など
カボザンチニブVEGFR、MET、AXL など腎細胞がん、肝細胞がん、甲状腺髄様がん など

④ 観察・指導ポイント

  • 血圧:開始〜初期はこまめに(家庭血圧が有用)
  • 尿蛋白:定期的に確認(蛋白尿)
  • 出血/血栓:黒色便、血尿、突然の胸痛・片麻痺など(緊急)
  • 創傷治癒遅延:手術/抜歯/処置予定があれば事前共有(休薬計画)
  • 皮膚(HFSR):手足の痛み、発赤、角化、亀裂(保湿・摩擦回避、重症は受診)
  • 下痢/食欲不振:脱水予防、体重推移
  • 肝機能障害:AST/ALT
  • 甲状腺機能異常(薬剤による):倦怠感、体重変化など
  • 相互作用:CYP3A4阻害/誘導薬、サプリ(セントジョーンズワート等)を含め確認
⚠️
マルチキナーゼ阻害薬は 高血圧・蛋白尿・出血/血栓創傷治癒遅延 が重要。黒色便/血尿など出血兆候、急な神経症状、強い頭痛(高血圧疑い)は早めに報告。処置・手術予定は必ず共有し、併用薬(OTC/サプリ含む)は相互作用を確認。