骨髄抑制

薬剤性の骨髄抑制

薬剤(抗がん薬を含む)により造血が抑えられ、白血球(特に好中球)・赤血球・血小板が低下する状態。感染・出血・貧血症状のリスクが上がり、治療延期や減量の原因にもなる。

① 概要(何が問題?)

  • 骨髄での造血が抑制され、
    • 好中球減少:感染リスク↑(発熱性好中球減少:FN)
    • 血小板減少:出血リスク↑
    • 貧血:倦怠感・息切れ・動悸
  • 時期:薬剤投与後、数日〜2週間前後で低下しやすい(薬剤・レジメンによる)
  • 原因になりやすい薬:
    • 細胞障害性抗がん薬(頻度が高い)
    • 分子標的薬・免疫抑制薬(薬剤差)
    • 一部の抗菌薬・抗てんかん薬など(まれ〜薬剤特異的)

② 評価(見方の基本)

  • 血算(CBC):WBC、ANC(好中球数)、Hb、Plt
  • 重症度の目安
    • 好中球減少:ANCが低いほど重症(施設基準に従う)
    • 血小板減少:出血症状の有無、Plt値
    • 貧血:Hb値+症状
  • 感染兆候:発熱、悪寒、咳、咽頭痛、排尿時痛、創部発赤など
  • 出血兆候:紫斑、点状出血、歯肉出血、血尿、黒色便

③ 治療・対応(治療法のまとめ)

A. 好中球減少/FN(発熱性好中球減少)

  • FNは緊急:原則、広域抗菌薬を速やかに開始(血液培養などは施設プロトコルに従う)
  • G-CSF
    • 予防(一次/二次)や治療補助として使用(適応はリスクと主治医判断)
  • 感染予防
    • 手指衛生、口腔ケア、皮膚・粘膜ケア
    • 人混み回避、マスク、発熱時の受診目安の指導(方針は施設運用)

B. 血小板減少(出血リスク)

  • 出血評価(皮下出血、鼻出血、血尿など)
  • 血小板輸血:値や出血リスクに応じて実施
  • 出血予防:転倒予防、侵襲的処置の可否確認、歯ブラシは軟らかいもの、NSAIDs等の確認

C. 貧血

  • 赤血球輸血:症状やHbで判断
  • 原因評価:出血、溶血、栄養(鉄/葉酸/B12)なども確認
  • (状況により)ESA(赤血球造血刺激因子)を用いることがある(適応は方針に従う)

D. 原因薬剤への対応

  • 減量・休薬・延期:回復を待って再開(レジメン/主治医指示に従う)
  • 腎機能・肝機能低下があると骨髄抑制が強まることがあるため、併存症・併用薬も含めて見直す
🩺

看護の視点(観察・支援)

  • バイタル:発熱、血圧、SpO₂
  • 感染:咳、咽頭痛、排尿時痛、創部、口腔内、皮膚の発赤
  • 出血:皮下出血、歯肉出血、血尿、黒色便
  • 貧血症状:息切れ、動悸、めまい、易疲労
  • セルフケア指導:発熱時の連絡/受診目安、手洗い、口腔ケア、転倒予防
  • 採血スケジュール把握:次回治療可否の判断に直結
⚠️
38℃以上の発熱はFNの可能性があり緊急対応になり得る。悪寒、意識変容、呼吸困難、血圧低下、出血が止まらない等があれば、施設プロトコルに従い速やかに報告・対応。