ビタミン

全体像(まずここ)

  • 水溶性ビタミン:B群・C
    • 体内に貯蔵されにくい毎日の摂取が基本
    • 余剰は尿中に排泄されやすい → 過剰症は比較的少ない(ただし例外あり)
  • 脂溶性ビタミン:A・D・E・K
    • 脂肪組織・肝臓に貯蔵されやすい
    • 胆汁・脂肪吸収に依存 → 吸収不良(胆道閉塞、膵外分泌不全、脂肪吸収障害など)で欠乏しやすい
    • 蓄積しやすく、過剰症に注意

水溶性ビタミン(B群・C):各論

B1(チアミン)

  • 役割:糖代謝の補酵素(ピルビン酸→アセチルCoAなど)/神経・心筋機能の維持
  • 欠乏:脚気(末梢神経障害、浮腫、心不全)、Wernicke脳症(意識障害・眼球運動障害・運動失調)
  • 過剰:通常食ではまれ
  • 類似医薬品(関連で覚える)
    • チアミン製剤(欠乏治療/Wernickeは緊急投与があり得る)
      • 低栄養リスクのある状況(アルコール多飲、利尿薬、胃切除後)=補充の判断ポイント
    • IVH(中心静脈栄養):高カロリー輸液開始後にB1が相対的に不足しやすい。投与前〜開始早期にB1投与を検討(重症例は先にB1)。
      • 理由:糖負荷でB1需要↑ → 乳酸アシドーシス、心不全、意識障害(Wernicke)などのリスク
      • ハイリスク:低栄養、アルコール多飲、長期絶食、悪性腫瘍、慢性疾患、利尿薬使用など

B2(リボフラビン)

  • 役割:酸化還元反応(FAD/FMN)=エネルギー産生に関与
  • 欠乏:口角炎、口内炎、舌炎、脂漏性皮膚炎
  • 過剰:尿中排泄(黄染)/臨床的問題は少ない
  • 類似医薬品
    • ビタミンB複合剤(栄養補助として処方されることが多い)

B3(ナイアシン)

  • 役割:NAD/NADP(酸化還元、エネルギー代謝)
  • 欠乏:ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知機能低下)
  • 過剰:潮紅、肝障害、高血糖・高尿酸
  • 類似医薬品
    • (臨床薬理として)脂質に関わる薬と混線しやすい → 「ナイアシン大量=副作用に注意」で整理

B6(ピリドキシン)

  • 役割:アミノ酸代謝、神経伝達物質合成(GABAなど)、ヘム合成に関与
  • 欠乏:末梢神経障害、けいれん(乳児)、貧血(シデロブラスト性)
  • 過剰:大量摂取で感覚性ニューロパチー
  • 類似医薬品
    • ピリドキシン製剤
    • 抗結核薬などで欠乏リスクが話題になることがある(「薬剤性→補充」)

葉酸(ビタミンB9)

  • 役割:DNA合成(造血・細胞増殖)
  • 欠乏:巨赤芽球性貧血(B12欠乏との鑑別が重要)
  • 過剰:通常は大きな問題は少ないが、B12欠乏の神経症状を隠す点が注意
  • 類似医薬品
    • 葉酸製剤(欠乏治療)
    • 「貧血=鉄だけではない」を強調する時にセットで提示

B12(コバラミン)

  • 役割:DNA合成(造血)+髄鞘維持(神経)
  • 欠乏:巨赤芽球性貧血+末梢神経障害(しびれ、歩行障害など)
  • 過剰:通常は問題になりにくい
  • 類似医薬品
    • B12製剤(経口/注射)
    • 葉酸(※B12欠乏を葉酸で“見かけ上”改善すると神経障害が進むことがある)

C(アスコルビン酸)

  • 役割コラーゲン合成、抗酸化、鉄吸収補助(Fe³⁺→Fe²⁺)
  • 欠乏:壊血病(歯肉出血、皮下出血、創傷治癒遅延)
  • 過剰:下痢、腎結石リスク(シュウ酸)
  • 類似医薬品
    • アスコルビン酸製剤
    • 鉄剤(Cは吸収を助ける、という関係で一緒に整理しやすい)

脂溶性ビタミン(A・D・E・K):各論

A(レチノール)

  • 役割:視覚(ロドプシン)、皮膚・粘膜の維持、免疫
  • 欠乏:夜盲、乾燥性角結膜炎
  • 過剰:頭痛、嘔気、肝障害、皮膚乾燥、脱毛、催奇形性
  • 類似医薬品
    • レチノイド(皮膚科領域など):ビタミンA関連薬として“過剰・催奇形性”を結びつける

D

  • 役割:Ca/P代謝(腸管吸収↑、骨代謝)
  • 欠乏:くる病/骨軟化症、低Caによるテタニー
  • 過剰:高Ca血症(悪心、便秘、多尿、腎障害、意識障害)
  • 類似医薬品
    • 活性型ビタミンD(カルシトリオール等)
    • 骨粗鬆症治療薬:カルシウム製剤、ビスホスホネート、SERM、カルシトニン(Dと“骨”でセット学習)

E(トコフェロール)

  • 役割:抗酸化(細胞膜保護)
  • 欠乏:溶血性貧血、末梢神経障害(吸収不良で起こりやすい)
  • 過剰:出血傾向(抗凝固方向)
  • 類似医薬品
    • ビタミンE製剤
    • 抗凝固・抗血小板薬(出血リスクの考え方をつなげる)

K

  • 役割:凝固因子(II, VII, IX, X)活性化(γ-カルボキシ化)
  • 欠乏:出血傾向(PT延長)
    • リスク:胆道閉塞、長期抗菌薬、栄養不良、新生児
  • 過剰:食事由来ではまれ(薬剤で注意)
  • 類似医薬品
    • ビタミンK製剤
    • ワルファリン(ビタミンK拮抗):摂取量の急変で効果が変動(相互作用の典型)

まとめ

  • 水溶性=代謝の補酵素(B群)とコラーゲン(C)/貯蔵しにくい→欠乏が臨床で出やすい
  • 脂溶性=貯蔵される→欠乏も過剰も両方注意。Aは視覚、DはCa、Eは抗酸化、Kは凝固