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吸入ステロイド

吸入ステロイド(ICS)

① 薬効群の概要

吸入ステロイド(ICS: Inhaled Corticosteroids)は、気道の炎症を抑えることで症状・増悪を減らす「喘息治療の基本薬(長期管理薬)」。 即効性の気管支拡張薬ではなく、数日〜数週かけて炎症を抑えることで効果が現れる。

② 作用機序

  • 気道の炎症反応(特に好酸球性炎症、サイトカイン産生)を抑制
  • 気道過敏性の低下、粘膜浮腫・分泌の抑制 → 増悪リスク低下

③ サブグループと代表薬(例)

一般名(例)主なポイントデバイス/備考(例)
ベクロメタゾンICSの代表製剤によりpMDI等
ブデソニドICSの代表DPI/ネブライザー等の製剤がある
フルチカゾン(プロピオン酸/フランカルボン酸)CYP3A4阻害薬併用で全身作用が増える可能性に注意DPI等
モメタゾンICSの一つDPI等
シクレソニドICSの一つ製剤によりpMDI等
ベクロメタゾン(キュバール®️)[pMDI]
ブデソニド(パルミコート®️)[吸入液]
 
ブデソニド(パルミコート®️)[DPI]
フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイド®️)[DPI]
フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイド®️)[pMDI]
モメタゾン(アズマネックス®️)[DPI]
シクレソニド(オルベスコ®️)[pMDI]
  • デバイス選択の要点
    • pMDI(定量噴霧式):噴霧と吸気の同調が必要。スペーサーで吸入効率改善・口腔内付着低減。
    • DPI(ドライパウダー):吸気流量が必要(吸入力が弱い場合は注意)。
    • ネブライザー:小児・高齢者など、吸入手技が難しい場合に選択。

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 継続使用の重要性:症状がなくても毎日使用(効果は数日〜数週で出る)
  • 吸入手技の確認(効果は手技依存)
    • DPI:強く深く吸う(吸気流量の確保)
    • pMDI:噴霧と吸気の同調(スペーサーで改善)
    • 吸入後:息止め(数秒)→ うがい
  • 局所副作用の観察:口腔カンジダ、嗄声、咽頭刺激感
    • 予防:吸入後のうがい(ガラガラ+ブクブク)、スペーサー使用、口腔ケア
  • 高用量・長期での全身影響に注意:副腎抑制、骨粗鬆症、皮膚菲薄化、白内障/緑内障、小児の成長抑制、高血糖 など(用量依存)
  • COPDでICS使用中は肺炎リスクにも注意:発熱、痰増加、呼吸状態悪化など

⑤ 適応・使い分けの要点(簡潔)

  • 喘息:ICSが治療の中心。単剤で不十分ならICS/LABA配合へステップアップ。
  • COPD:原則は気管支拡張薬(LAMA/LABA)が中心。増悪頻回、好酸球高値が示唆される、喘息合併(ACO疑い)などで追加を検討(“とりあえずICS”は避ける)。

⑥ 相互作用・注意すべき併用

  • 一部ICS(特にフルチカゾン等)は、強力なCYP3A4阻害薬併用で全身曝露↑ → 副腎抑制などのリスクが上がることがある