吸入ステロイド
吸入ステロイド(ICS: Inhaled Corticosteroids)は、気道の炎症を抑えることで症状・増悪を減らす「喘息治療の基本薬(長期管理薬)」。 即効性の気管支拡張薬ではなく、数日〜数週かけて炎症を抑えることで効果が現れる。
- 気道の炎症反応(特に好酸球性炎症、サイトカイン産生)を抑制
- 気道過敏性の低下、粘膜浮腫・分泌の抑制 → 増悪リスク低下
| 一般名(例) | 主なポイント | デバイス/備考(例) |
|---|---|---|
| ベクロメタゾン | ICSの代表 | 製剤によりpMDI等 |
| ブデソニド | ICSの代表 | DPI/ネブライザー等の製剤がある |
| フルチカゾン(プロピオン酸/フランカルボン酸) | CYP3A4阻害薬併用で全身作用が増える可能性に注意 | DPI等 |
| モメタゾン | ICSの一つ | DPI等 |
| シクレソニド | ICSの一つ | 製剤によりpMDI等 |
ベクロメタゾン(キュバール®️)[pMDI]

ブデソニド(パルミコート®️)[吸入液]


ブデソニド(パルミコート®️)[DPI]


フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイド®️)[DPI]



フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイド®️)[pMDI]


モメタゾン(アズマネックス®️)[DPI]


シクレソニド(オルベスコ®️)[pMDI]


- デバイス選択の要点
- pMDI(定量噴霧式):噴霧と吸気の同調が必要。スペーサーで吸入効率改善・口腔内付着低減。
- DPI(ドライパウダー):吸気流量が必要(吸入力が弱い場合は注意)。
- ネブライザー:小児・高齢者など、吸入手技が難しい場合に選択。
- 継続使用の重要性:症状がなくても毎日使用(効果は数日〜数週で出る)
- 吸入手技の確認(効果は手技依存)
- DPI:強く深く吸う(吸気流量の確保)
- pMDI:噴霧と吸気の同調(スペーサーで改善)
- 吸入後:息止め(数秒)→ うがい
- 局所副作用の観察:口腔カンジダ、嗄声、咽頭刺激感
- 予防:吸入後のうがい(ガラガラ+ブクブク)、スペーサー使用、口腔ケア
- 高用量・長期での全身影響に注意:副腎抑制、骨粗鬆症、皮膚菲薄化、白内障/緑内障、小児の成長抑制、高血糖 など(用量依存)
- COPDでICS使用中は肺炎リスクにも注意:発熱、痰増加、呼吸状態悪化など
- 喘息:ICSが治療の中心。単剤で不十分ならICS/LABA配合へステップアップ。
- COPD:原則は気管支拡張薬(LAMA/LABA)が中心。増悪頻回、好酸球高値が示唆される、喘息合併(ACO疑い)などで追加を検討(“とりあえずICS”は避ける)。
- 一部ICS(特にフルチカゾン等)は、強力なCYP3A4阻害薬併用で全身曝露↑ → 副腎抑制などのリスクが上がることがある